北朝鮮の脅威といえば、まず核兵器であり、その次に各種ミサイルだろう。だが、この核とミサイルという二大脅威の陰に隠れてあまり注目されない北朝鮮の強力な武器がある。それはサイバー攻撃能力だ。米国ではトランプ政権も民間も、この北朝鮮のサイバー攻撃に対して厳しい警戒の目を向けている。
北朝鮮のサイバー攻撃の実態を報告しよう。
ランサムウエアを政府が開発
トランプ政権は「世界規模の脅威評価」と題する報告書の中で、北朝鮮のサイバー攻撃に対する警戒を強調した。
「世界規模の脅威評価」は同政権の各情報機関が合同で作成し、2018年2月中旬に、米国政府の中央情報局(CIA)、国家安全保障局(NSA)、国防情報局(DIA)、連邦捜査局(FBI)など主要情報諜報機関のトップがすべて出席した議会公聴会で公表された。公表したのは、情報諸機関を代表するダン・コーツ国家情報長官である。
同報告書は、米国の国家安全保障にとっての「グローバルなサイバー脅威」の1つとして北朝鮮を挙げていた。その部分の骨子は以下のとおりである。
・北朝鮮は米国や韓国への軍事攻撃のため、あるいは資金の獲得、情報の獲得のために、サイバー作戦の準備をし、米韓などの公共サービスの攪乱、データの削除、ランサムウエア(Ransomware:身代金要求型不正プログラム)の拡散などの攻撃的な工作をいつでも警告なく実行できる技術や機材を用意している。