シリア空爆は対北軍事行動の予告編だ

Gage Skidmore/flickr:編集部

今回、米、英、仏の海・空戦力のシリア空爆は迅速かつ完璧な戦果を上げた。
シリア駐屯ロシア軍の新型対空ミサイル、S-400が反撃できなかった理由は,米英仏連合軍を刺激すればロシア軍も空襲を浴びる恐れがあるからだろう。

中国も、ロシアも、米国に対抗して戦争に巻き込まれたら経済が崩壊する恐れがある。アメリカは中露が米国に対抗出来ない厳しい経済状態であることを見抜いている。

昨年、米中首脳会談中のシリア空爆は中国に対する警告であり、今回のシリア空爆はロシアに対する警告であるのだろう。米国は最強の先端軍事力だけでなく、資源と石油埋葬量が世界一に生まれ変わった。金融、基軸通貨ドルの威力と宇宙・航空技術力が世界一の超強大国である米国はスーパーパワー覇権を益々拡大すると考えられる。

シリアと北朝鮮は長く太いパイプを持っており,欧米当局はシリアが使用した化学兵器は北朝鮮製である可能性を指摘した。金正恩労働党委員長は昨年,マレーシアのクアラルンプール空港でvxガスを使って兄の金正男氏を毒殺した。核は抑止力の兵器だから使えないが、化学兵器は使いやすい兵器である。

米朝トップ会談が決裂、あるいは開かれなかった場合、米国は6月~10月に対北軍事行動に踏み切る可能性が高い。
10月の中間選挙の前に、長期独裁、殺人政権、テロ国家を壊滅させるというスケジュールだろう。対北軍事行動はトランプ大統領の支持率を急騰させ、2年後の2期大統領選挙で再選への展望を開く。現在まで軍事行動を控えた理由は、トランプ大統領の戦略的な時間稼ぎであろう。

しかし、費用対効果の側面からは、前倒し空爆こそが戦争予算を節約する近道だ。それこそ。計算の早いビジネスの王様、トランプ大統領の本音だろう。

北爆はトマホークミサイル2,000発を700カ所の標的に一斉発射。外科手術式打撃と同時に“斬首作戦”を実行する。深夜ないし未明の空襲は第2波、第3波の空爆を含めて最短1時間で完了するだろう。全世界は翌朝の緊急特別ニュースで事の次第を知るはずだ。

ポンペオ CIA(中央情報局)長官が先に極秘訪朝して金委員長と会談したと報じられるなど、米朝は高いレベルで直接交渉を進めている。ただ、米国の目的は北朝鮮の完全で検証可能な核放棄であり、条件が整わなければ会談を開かない可能性もあることを明確にしている。

金委員長は核放棄をしない限り、体制存亡の危機を迎える。若い王様に生き残るための賢明な選択を期待する。

(拓殖大学客員研究員、韓国統一振興院専任教授、元国防省専門委員・北韓分析官)

※本稿は4月19日、『世界日報』に掲載したコラムを筆者が加筆したものです。

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