福田次官セクハラ事件はまことにつまらない問題だが、これだけ話題になっており、また、ネットに強い人とそうでない人で情報格差がひどいので、少しまとめておきたい。
まず、福田次官は辞職を決めたので今更だが、本件について私は、福田財務事務次官はしばらく謹慎が妥当だったと思う。何週間かのうちに真相究明が進んでから処分をきめればよかったのである。真相究明をそれなりにして、正しい措置をするべきなので無理矢理腹切らせてうやむやにするのはよろしくなかった。
どうしても、次官がいないとこまるような状況でないし、また、処分を急ぐ理由もない。「すぐにやめさせないのは感度が悪い」とかいう人もいるが、それは、面倒なことになると白黒つけずに切腹を強要していた江戸時代なみの酷い論理だ。
そもそも、マスコミはこういう情報の取り方を狙って体制を組んでいるのではないかと思う。
若くて何も知らない女子アナが大きな顔したり、政府要人のぶらさがりに若い美人ばかり群がっているのは日本の政治や文化の劣化しかもたらさないので、かねがねおかしいと思っていた。福田セクハラ事件を機にぶらさがり美人は消えることになるだろうし、その次は、若い女性アナを分不相応な仕事から外せば日本のために良いことだ。男女を問わず、ジャーナリストとしての本当の実力がある人がするべき仕事だ。
事実関係について、テレビ朝日の局長の説明はなんのことやら訳が分からなかったが、錚々たる関係者のリークでいろいろ見えてきた。
あの望月衣塑子さんのツイートによると、このような背景があったそうだ。
福田次官のセクハラ被害を訴えたテレ朝記者の上司は、私が最も尊敬する女性だ。訴えた記者も信頼を寄せている。その上司がなぜ「記事は出せない」と言ったのか。もみ消すためではない。これまでの会社の行動からすれば、逆に潰される可能性が高いと判断したという。日本のマスメディアに共通の課題だ
— 望月衣塑子 (@ISOKO_MOCHIZUKI) 2018年4月19日
セクハラ被害を訴えたテレ朝記者の上司は、被害を記者から聞いた際、夜のサシ飲みには「もう行かない方がいい」と助言。記者は暫く行くのを止めていたが、森友の公文書改ざん、財務省の虚偽説明が次々と明らかになる中、取材を進めるため電話に応じ、夜の会合へ。その先で一連のセクハラ被害に遭った
— 望月衣塑子 (@ISOKO_MOCHIZUKI) 2018年4月19日
杉田水脈さんによれば
【上司は女性】東京新聞・望月衣塑子記者が最も尊敬する女性とおっしゃるのはテレ朝経済部長の松原文枝氏。過去に報ステで「安倍総理はヒトラー」のレッテル貼りをする番組を作ってギャラクシー賞を受賞しています。夫は朝日新聞編集局長補佐の立松朗氏です。これはなにを意味するのでしょう? https://t.co/1fQLvSNmSo
— 杉田 水脈 (@miosugita) 2018年4月20日
ということです。
なんでも、古賀茂明が暴言を吐いて報道ステーションをおろされたときに一緒に外れた人物だそうで、古賀茂明も、「出て来い、出て来いという状況になって本人脅えている。ただ彼女が言ってるのは、ひとつだけ心の支えは詩織さんだと。詩織さんが顔と名前を出して戦っているのを見てるから自分は顔も名前も出せなくて申し訳ないけどここで諦めてはいけないと…」などとこじつけているが、つまりテレビ朝日の内紛と言うことか。
それにしても、本来、得ることができる情報からはずされるならともかく、特ダネをとれるかもしれないチャンスを逃すだけのことである。
その特ダネをとるために、『取材を進めるため電話に応じ、夜の会合へ』というのは、上司が命じたのか、それとも、テレビ朝日という職場がそういうことをせざるを得ない雰囲気の職場なのか、本人がよほどポイントを稼ぎたいと焦っていたのか、それとも、そんなことは滅多にないと思うが、相手をはめるつもりだったのか、全く分からないが、どうであるにせよ、なんでそんな過去に嫌な目をしたというならのこのこ行くのかなかなか理解しがたいところだ。
それについて、藤原かずえさんは『テレビ朝日が女性記者に課す暗黙の了解というセクハラ』のなかで、まだテレビ朝日記者だと発覚前に、「報道ステーション」(2017年4月17日に出演した上谷さくら弁護士はこんなことをいっていたということを紹介している。
取材先にもいろいろな人がいるし、女性記者はセクハラ発言をする人に対してもうまくかわしながら上手に懐に入り込んでうまくネタを取ってくるということが暗黙の了解というか会社から期待されていて無言のプレッシャーとなっている。なのでそれができなくて、セクハラありましたと声を上げると、会社の期待にもそえないし、自分の会社と組織との関係がよくなくなってきて、その女性記者自身も会社に居づらくなるというケースが考えられる。
そして藤原さんは、「テレビ朝日は、セクハラの危機を認識しながらも『女性記者の弱い立場(上谷弁護士談)』を利用して、セクハラが疑われる人物の担当者として女性記者を起用し続けていた」と結論づけていた。
19日放送のテレビ朝日系「モーニングショー」は次のようなやりとりを公開した。これを見て、記者のほうも福田氏に媚びて、まさに上記のように『取材先にもいろいろな人がいるし、女性記者はセクハラ発言をする人に対してもうまくかわしながら上手に懐に入り込んでうまくネタを取ってくる』ことを実践していることが分かる。それを会社から期待されさせられて、セクハラを受けたと女性の上司に訴えながら配置転換もしてもらえないし、抗議もしてもらえないこの女性記者は気の毒と言うほかない。
福田氏「オレ、新聞記者ならいい新聞記者になってる」
記者「そうじゃないですか?」
福田氏「キスする?」
記者「じゃ、キスする記者になんかいい情報あげようとは思わない?」
福田氏「そりゃ思うよ」
記者「ええ?本当ですか?」
福田氏「好きだからキスしたい。キスは簡単。好きだから情報」
記者「へえ」セクハラの全貌を明らかにした。
これはテレビ朝日が、意地悪いえば、嫌がっているそぶりを見せないように要求してたのではなかったか、福田氏のセクハラ発言を引き出すような指示はなかったのか?など、糾明する必要があるのではないか。
なにしろ女性記者は福田次官に対して以上にテレビ朝日の人間に対して弱い立場で真実を語りにくいと思う。ぜひとも、第三者委員会、それもテレビ朝日のサイドに近い人は排除してじっくり調査すべきであろう。
それから、米山問題についてだが、デーブ・スペクター氏が、新潟県米山知事の女性問題に「密告なのか。はめたようなことなのか。背景に何があるのか」と発言したという。
野党系の政治家についてなら、セックススキャンダルを何かの陰謀だとテレビでいっても許される。これが与党系の政治家や官僚についてコメンテーターは絶対にいわせてもらえない。日本では「造反有理」ならぬ「左翼は嘘をついても正義」という基準がマスメディアに存在するといわれても仕方ない。