きのうテレビ朝日の角南社長の記者会見が行われたが、話が混乱している。産経によると、経緯は次の通り。
今月4日、NHKが夜7時のニュースで森友問題での財務省の口裏合わせについて独自のニュースを報じ、女性社員はデスクからの指示もあり、その裏付け取材をすることになった。そのときに福田次官から電話があったため、裏付け取材をしようと考え、夜9時ごろから夜10時前まで約1年ぶりに夜の食事を伴う一対一の取材に臨んだ。
ところが、このときもセクハラ発言が多数あったため、社員は自らの身を守るため途中から録音した。後日、この社員はセクハラの事実をテレビ朝日で報じるべきではないかと上司に相談した。上司にはセクハラの事実を隠蔽しようという考えはなく、幾つかの理由で報道は難しいと判断した。この社員はセクハラ被害を黙認される恐れがあるとして週刊新潮に連絡し、取材を受けた。
つまりいやがる記者を上司が無理やり取材に行かせたが、セクハラについて上司が握りつぶしたので、彼女が週刊新潮に売り込んだということだ。これについて角南氏は「録音には公益性がある」といいながら、「取材で得た情報を第三者に提供したことは遺憾に思う」という。これは懲戒処分にあたるのではないかという質問には「調整中」だと答えた。
「身を守るために録音」したのなら、まずテレ朝が財務省に抗議するのが本筋で、報道しないのは当然だ。隠し録りの音声をニュースで使うのはルール違反である。女性記者が音源を週刊誌に提供したのは、社員が報道のルールを知らないことを示している。これは社長の責任だ。
最大の問題は、肝心の録音の内容がわからないことだ。福田氏は潔白を訴え「全体を聞いてもらえばわかる」といっている。問題の音声データはかなり編集されたと思われる。このオリジナルを聞いて会合の経緯を検討し、どういう文脈で言葉が出たのか、本当にセクハラがあったのか確認することが第一歩だ。
その事実が確認できないのに福田氏を犯人扱いし、麻生財務相の責任を問うことはできない。まずテレビ朝日が第三者委員会で録音の内容を確認すべきだ。