こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
5月3日発売の雑誌「月刊フォアミセス」に、元要保護児童・山本昌子さんが主人公となった読み切り漫画「そだちとすだち」が掲載されています。
月刊フォアミセス
http://www.akitashoten.co.jp/formrs
「そだちとすだち」は、
「施設や里親家庭で育ち、様々な過去を持つ子供たちの未来は…!?丁寧な取材をもとに描く意欲作!」
と紹介されており、私が議員としてのライフワークとして取り組んでいる社会的養護・児童養護の分野にスポットを当てた作品です。
社会的養護・児童養護に関する過去ログはこちら↓
http://otokitashun.com/tag/%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E7%9A%84%E9%A4%8A%E8%AD%B7/
何らかの事情で両親や保護者と暮らせない「要保護児童」はいまも全国に3万人以上、東京都で約4,000人いるにもかかわらず、その社会的認知度や問題意識は決して高くありません。
先日の児童養護施設のイベントで知り合い、今回の漫画のモチーフとなった山本昌子さんは
「児童養護施設が、可哀想や辛く苦しいだけの場所でないことを世の中に認知してもらいたい」
という想いで、漫画家さんとともに今回の作品に向き合ったそうです。
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さて、そんな主人公の山本昌子さんは、現在「ACHA Project」という、社会的養護の出身者に向けて「振袖姿の前撮り」を提供する支援活動を続けています。
ACHA Project
https://achaproject.org/index.html
というのも、社会的養護・児童養護については「成人の壁」とも言える問題が存在しています。
社会的養護・児童養護という福祉の対象になるのは、原則として18歳まで。いま「成人」とされている二十歳を前に、施設や里親の元から巣立っていくことになります。
参考過去記事:
18歳と20歳…制度の狭間に落ちる「子ども」たち。大人・成人ってなんですか?
http://otokitashun.com/blog/daily/6881/
すると、どんなことが起こるか?
成人式の「振り袖」には、20万円~30万円程度の費用がかかると言われています。
両親や保護者が負担することが一般的ですが、すでに施設や里親の元を卒業した元要保護児童たちには、その費用を出してくれる人がいません。
すると必然的に、多くの要保護児童たちが成人式で振り袖を着たり、そもそも出席すること事態を諦めてしまうことになります。
山本さん自身もやはり、成人式の参加を見送った要保護児童の一人でした。
しかし、通っていた専門学校の仲間たちがサプライズで「振り袖」を用意して撮影してくれたことがきっかけで、自分自身がこうしたプロジェクトを立ち上げ、今は同じ状況に直面している元要保護児童たちへの激励を続けています。
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山本さんが「伝えたい」と言っているように、もちろん児童養護施設や辛いだけの場所ではないと思います。
一方で、やはりその出身者はこうした成人式など人生の節目節目で厳しい状況に直面することも確かです。
公助(福祉)の面からも、共助の面からも、もっとできることはないかと私も常に考えています。
現在、国では「成人年齢の引き下げ」が議論されていますが、こうした要保護児童たちも重要なファクターの1つと言えるでしょう。
しかしながら、その認識がある人は(おそらく国会議員や官僚の中にも)あまり存在しないのではないかと思います。
ぜひ今回の月刊フォアミセス「そだちとすだち」、一人でも多くの方に手にとっていただき、こうした実態やストーリーを知っていただければ大変幸いです。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は東京都議会議員、おときた駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年5月3日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。