在学中に妊娠すると、教師から退学を迫られる「妊娠退学」問題を昨年から仲間達と共に提起してきました。
高校中退を余儀なくされた女性は、その後多くがシングルマザーとなり、学歴もなく限定された仕事にしか就けず、結果として貧困に陥っていきます。
親が貧困ということは、すなわち子供も貧困になる、ということです。
学校が、子どもの貧困を生み出す装置になっているのです。
文科省の公式答弁
最近は公明党さんも積極的に動いて下さり、4月10日の参議院文教科学委員会で佐々木さやか議員が質問に立ち、妊娠退学について文科省にぶつけてくれました。
そして、文科省の高橋道和初等中等教育局長から「(妊娠退学は)法令上の根拠なし。従う必要なし」という答弁を引き出してくれたのです。
これで、妊娠退学を勧める教師は、法令にのっとらず勝手にやっていることが明示化されました。
もし皆さんの周りで、妊娠した女子生徒に退学を遠回しにでも勧めるような教師がいたら、彼/彼女に伝えてあげてください。
「あなたのやっていることは、法的に全く根拠を欠いています。ということは、あなたが勝手に判断して行動していることなので、あなたに法的な責任が生じます。責任取れるんですね?」と。
妊娠した生徒に必要なこと
妊娠した女子生徒に必要なのは、学校を放り出すことではありません。妊娠・子育てしながらも卒業まで勉強を続けられるサポートです。
体育などの授業を免除したり、出産前に不安な気持ちを抱えた生徒へのポジティブな声がけなどです。
また出産前であれば、学校が地域の産婦人科、保健所、当該家庭と相手の家庭を繋ぎ、出産後であれば、行政の保育課、保育園、児童家庭センターへと繋いでいくことも必要でしょう。
さらに本質的には、今は不十分な性教育を学校現場でしっかりと行って、望まない妊娠の予防を行っていくことも重要でしょう。
最後に、何百回目かのメッセージを繰り返します。
学校による妊娠退学は、許される行為ではありません。今すぐやめろ、と。
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2018年5月4日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。