卓球ブーム再燃か!スクール入会前に知っておきたいことは

写真は永長さん。本記事用に撮影してもらった。

いま卓球がアツい!「世界卓球を観てたらまた卓球やりたくなっちゃった」「子供の頃は卓球やってたから、またやってみようかな」。そういえば、卓球を始める際には何が必要になるのだろう。コストなどを含めて基本的な情報を知らない人が多い。今回は、卓球ビジネス専門家として活動する、永長佳明さんに卓球を始める際の注意点について聞いた。

永長さんは、現在、「卓球便.NET」の運営、卓球スタジオ経営をおこなっている。主な戦歴としては、全日本選手権ジュニア出場、全日本インカレ北海道・優勝、全日本学生選手権北海道・シングルス準優勝、ダブルス優勝がある。

気をつけてほしい6つの注意点

――小学生、中学生の頃は、授業に卓球があった。高校では部活以外の競技はやらなかったが、大学に進学してからは卓球をやる場面がまったく無くなった。社会人になってからは、温泉卓球くらいしかやらなくなった。ちなみにこれは筆者ことである。

「ブランクの長い人や初心者のなかには、卓球のルールや戦術、構造が大きく変化した事を知らない方が多く、色々と戸惑うことが多いようです。それが次の6点になります。(1)用具の変化、(2)プレースタイル、(3)打法の違い、(4)ルール、(5)思ったよりもハード。では、解説をしていきます。」(永長さん)

(1)用具の変化
「現在はシェークハンドが主流です。ひと昔前は、ペンホルダーも多く、温泉卓球などを楽しんでいた世代の方もペンホルダーが多いと思います。迷っているならシェークハンドをオススメします。現在の主流がシェークハンドという点。シェークは使いやすさがペンホルダーと比べて圧倒的に違う点。構造的な理由から取り組みやすいと感じます」

(2)プレースタイルが変わった
「以前、オールフォアと呼ばれるバック側に来るボールでも全て回り込んで打つという時代がありました。現在の卓球は、どんどんルール変更が加えられていてラリーが続く競技に向かう傾向です。フォアハンドとバックハンドをバランスよく打てる技術が求められているので、ブランクのある人にとっては戸惑う理由になるでしょう」

(3)打法の違い
<スマッシュ>
「卓球で最速のショットと言えばスマッシュです。これはボールを強くインパクトする事で時には金属音のような高い音が響き渡り、決まるとかなり気持ち良いです。スカンと一発スマッシュを決めてもらいたいのですが、この技術はとても難しく、ちょっとラケットの角度やスイング方向を間違えるとミスってしまいます」

<ドライブ>
「現在は、ドライブと呼ばれる、ボールにトップスピンを強くかける打法が攻撃の主流となっています。この打法はボールを強く擦って摩擦を加えながら打ちます。回転がかかり、空気抵抗によってボールの軌道は弧線になるためとても安定します。どんな卓球がしたいのか?目標設定をすることが大切だと感じています」

(4)サーブのルールの変更
<ボールを16センチ以上あげる>
「多くのルール変更が行われてきた卓球ですが、中でもブランクのある方にとっては『サーブのルール変更』が大きな影響を与えます。トスの時にボールを16センチ以上あげる。昔のラケットにぶつけるように出す、『ぶつけサーブ』と呼ばれるサーブを出してもOKだった時代がありますがいまは違反です」

<トスした後にボールを腕や身体で隠してはいけない>
「90年代くらいの卓球界では、ボールをトスした後にサーブのインパクトが見えないように腕や身体で隠していました。この事によって、球種の判断が難しく相手のサーブが取れなくて負けた。なんていう試合がよくありました。現在は、サーブのインパクトは相手に見えるように出さなければいけません」

(5)思ったよりもハード
「そろそろ何か運動でもしなきゃいけない年齢。卓球なら出来そう!なんていう理由からスクールに来ていただく方も多いですが、1~2分でゼェゼェになる方が多いです。卓球は無酸素運動で動くので、短距離走を全力で走り抜けた後のようなハードな運動になります。見た目よりずっと体力を使う運動だということを知ってもらえればと思います」

用具の選び方や価格について

「長く続けていきたいと思うのであれば、愛着の持てるマイラケットの購入がオススメですね。用具を選んでもらうのにベストな方法は、卓球スクールに在籍しているコーチに相談して選んでもらうという形。コーチは、スイングや身体の使い方を観て、実際に打つボールを受けているので、的確なアドバイスが出来ると考えられます。」(永長さん)

「価格ですが、シェークハンドが主流で両面にラバーを貼ることを想定して、ラケット本体5,000円から10,000円前後、ラバー1枚3,000円から5,000円前後収納ケース2,000円前後。合わせて相場は15,000円から20,000円くらいになります。この予算であれば、充分に良いものを選べると思います。」(同)

永長さんは、「ラケットは折れてしまわない限りずっと使えます。卓球はコストパフォーマンスが良く、長く続けやすいスポーツです」と主張する。回転や繊細なボールタッチ、選手の心理的な駆け引きも多い卓球。奥深い卓球の魅力を堪能してもらいたい。

尾藤克之
コラムニスト