先般、数年ぶりに車を買い替えたら、下取り価格が予想外に高かったのに驚いた。
ネット買取が増えたことや、業者間のオークション市場が整備されたことも原因の一つだろう。
情報の非対称性がなくなり「レモンの理論」が通用しにくくなったのかもしれない。
ネット業者の提示額より20万円も上乗せしてもらって、まさに狂喜してしまった。
とかく大きな買い物をする時、人は当該商品の価格を基準にして値引き額や下取り価格を考えてしまう傾向がある。
もし私が1000万円以上もする高級車を買ったのであれば、20万円の違いはさほど気にならなかったかもしれない。1000万円を基準にしてしまうと、20万円は商品価格のたった50分の1だ。
しかし、20万円の半額、たとえば10万円で何を買うことができるか細分化して計算すると、とんでもないことに気づくはずだ。一日の昼食代を500円とすれば、10万円あれば200日分の昼食代が賄える。
サラリーマンなら1年間の出勤日の昼食代のほとんどが賄えてしまう。
アマゾンプライム会費は年間3,900円なので10万円で約25.6年分と、なんと4分の1世紀分以上になる。
動画配信のネットフリックスとhuluの月会費を合わせても約1700円程度なので年間2万400円となり、アマゾンプライムビデオと合わせれば10万円あれば約4.1年間見放題になる。新刊書が2000円すると「高いなあ~」と思う人も多いと思うが、10万円あれば50冊も買えてしまう。下取り価格が20万円アップした私がいかに喜んだか、ご理解いただけるだろう。
先般、年会費10万円近くのアメックスのプラチナカードをさっさと解約したのは、1年間の会費で新刊書が50冊も60冊も買えることと比較したからだ(当時、動画配信はなかった)。人は買い物をする品物によって「心の勘定科目」を変えてしまう。
だから、高い買い物(とりわけ家やマンション)を買う時は十分注意しよう。
数千万円に比べれば50万、60万は“はした金”のように思えるが、昼食代や書籍代に引き直すとひしひしと現実感が湧いてくる。
それを考えると、私にとってiPhoneXはいささか高い買い物だった(汗)。買ってしまった以上サンクコストなので悔やんでも無意味だ。
また、ほとんどの人は、一定の品物やサービスに大きなお金を使ってしまう傾向がある。
普段の食費をつつましく抑えて海外旅行でドンと使う人もいれば、車や家に傾斜してお金を注ぎ込む人もいる。各人各様満足度が異なるので、お金の使途がアンバランスなのはやむを得ない。
ただ、自分の傾向を知っていると、グッと歯止めを利かすことができる。
今朝、自室の掃除をしていたら電子辞書とデジカメが何台も出てきて驚いた。
私は電子辞書とデジカメを衝動買いしてしまうタイプなのだ!
自室の掃除の最大の成果は、「二度と電子辞書とデジカメには手を出さない」という気持ちになれたことだ(笑)
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年5月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。