2017年から10年間の『第2次飯塚市総合計画』は教育を強調する。
まちづくりの基本は、人づくりです。その礎となる子どもの健やかな成長は、私たちみんなの願いです。このため、学校や家庭、地域社会がともに協力して、豊かな感性や確かな学力の育成により生きる力を育むとともに、地域全体で子供たちを守り育てる施策に取り組みことによって、時代を担う人材を育てます。
福岡県飯塚市の片峯誠市長は2010年に教育長に就任し、2017年に市長に当選した元中学校教諭である。教育重視は市長によるトップダウンの施策である。
飯塚市はソフトバンクの社会貢献プログラムに応募し、人型ロボット「Pepper」を借り受け小学校でのプログラミング教育に取り組んでいる。小学校五・六年生の授業にはオンライン英会話を組み入れ、ネットの向こうの外国人講師とマンツーマンでの会話を児童は楽しんでいる。
飯塚市は福岡市にも北九州市にも鉄道で1時間程度の距離にある内陸のベッドタウンで、教育重視は福岡市などに勤める子育て世代にアピールする。福岡県のオープンデータを使うと、たとえば2016年12月から一年間の転出入差は+123名で転入が多いという計算になる。集計期間によってこの値はプラスにもマイナスにも変わるが、いずれにしろ、飯塚市では人口減少に歯止めがかかりつつある。
飯塚市には九州工業大学など三つの大学キャンパスがある。広報誌『九工大通信』51号には「消化管内走行カプセル」という小さなロボットが紹介されているが、これは飯塚市内の病院と協力して開発されたものだそうだ。
「中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律」に地域産業資源の定義があり、地域の特産物として相当程度認識されている農林水産物又は鉱工業品、文化財、自然の風景地、温泉その他の地域の観光資源だそうだ。
しかし、飯塚市の様子を見ると教育も十分に地域産業資源に値する。飯塚市には大学キャンパスのほかに、飯塚保健医療圏の災害拠点病院に位置付けられている飯塚病院をはじめとする医療機関も多い。これらの地域産業資源を活用すればドイツの「大学都市」のように発展できるかもしれない。
山田 肇
『ドラえもん社会ワールド 情報に強くなろう』監修