いずも級の空母化が話題になっておりますが、軽空母用の固定翼機というのはありなのでは、と思ったりします。
例えば、早期警戒や攻撃ヘリなどの代用、対潜哨戒などには有用でしょう。
何しろヘリの問題点は滞空時間が短いことと整備が大変なことです。
端的に言えば、固定翼機ならば速度や滞空時間は2~3倍以上であり、整備も楽です。
軽空母で対潜やAEWを固定翼機で行えるならば、搭載ヘリの機数を大きく減らすとことが可能です。
一方固定翼機を使う場合に問題となるのは発着艦、とくに着艦です。拘束装置が必要です。
例えばAT-6やスーパーツカノなどのCOIN機を運用するならばそれが必要です。また機体も着陸脚の強化やフックの装備、機体構造の堅牢化、塩害対策も必要でしょう。ここまでいくとさほどメリットはないでしょう。
例えば複葉機にすれば着艦速度を下げられて拘束装置が不要、あるいは簡素化できるのではないでしょうか。An-2なんぞ発着陸距離はそれぞれ150メートル、170メートルです。
ペイロードは1~2トンは欲しいところです。航続距離はさほどは必要ないでしょう。
軽空母用だけだとかなりニッチになりますが、この程度の距離での離発着が可能であれば、陸上用としても
需要があるのではないでしょうか。特にアフリカなどでは。
また無人機型を開発する手もあるでしょう。
南アのパラマウント社のAHRLACの艦載型も面白いかもしれません。
パラマウントグループ、AAD2016に軽偵察/攻撃機を出展(東京防衛航空宇宙時評)
無論実現できるかどうかは、技術的なことだけではなく市場性も考えないといけません。こういう提案をするとあたまから否定する人もいますが、それは思考停止です。現状の肯定と新しい試みを否定するだけでは進歩から取り残されます。
機甲戦も戦略爆撃も当初に唱えた軍人達は異端視され、軍を追放されたりしてます。
90年代初頭にこれからは装輪装甲車が中心となるとぼくは主張しましたが、少なくない人たちがあり得ないといいました。事実はどうなったでしょうか。
また一度はお蔵入りとなった技術が新たな技術と合わさることによって、復活することも少なくありません。
現状の「常識」を金科玉条視することしかできない人には将来を見通すことはできません。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2018年5月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。