希望の党と民進党が合併してできた国民民主党は、世論調査で政党支持率が1%と、共産党の3%より低い。去年、希望の党が結成されたときは「保守」のイメージで新鮮さがあったのに、その後は「解釈改憲を許さない」という護憲政党に戻ってしまった。これでは立憲民主党と変わらない。連合がテコ入れをはかっているが、このままでは次の総選挙で消滅するだろう。
他方、きょう発表された「社会保障の将来見通し」では、いま121兆円の社会保障費が2040年には190兆円に膨張し、図のようにGDPの24%になる。この増加を消費税でまかなうには、小黒さんの計算では、税率を最終的には約30%に引き上げる必要があり、社会保険料も含めた国民負担率は60%を超える。
今の老人は負担よりはるかに高い給付を受けており、そのギャップは団塊の世代が後期高齢者になる2025年から激増する。その負担増を国債でごまかし、それを日銀が買ってゼロ金利で財政負担を減らしているが、このトリックは金利が上がり始めたら維持できない。これが安倍政権の最大の弱点だ。
そんなことは国民民主党の共同代表である玉木氏(財務省出身)も大塚氏(日銀出身)も知っているはずだが、彼らは社会保障にはふれない。その給付削減に手をつけると、大やけどすることがわかっているからだ。投票者のメディアンは60歳を超えているので、老人のいやがる政策は出せない。
しかし支持率1%になった国民民主党には、もう失うものがない。共産主義を掲げる共産党でさえ3%の支持を得ているのだから、その議席(12議席)を上回ることはむずかしくない。小選挙区で勝つには社会保障改革は打ち出せないが、比例代表では「若者党」に特化して若者の支持を得れば、すきま政党として生き残れるかもしれない。
たとえば去年の総選挙で希望の党が公約に掲げたベーシック・インカムで「社会保障を廃止してすべての国民に年間80万円配る」と公約してはどうだろうか。実現は不可能だが、共産主義よりはるかに合理的な政策だ。それをきっかけに社会保障の大きなゆがみを是正する議論が始まれば、すきま政党でも存在意義はある。