「苦労は買ってでもするべき」という根性論は正しいか?

こんにちは!肥後庵の黒坂です。
「若い頃は苦労を買ってでもしなさい」という人がいます。私はサラリーマン時代、上司や先輩からこのセリフを何度も言われてきました。今の私はこのように言われることもなくなりましたが、昔は学生時代から言われていた気がします。

近年、努力や根性を見せる姿勢を「ダサい」と見る風潮があります。また、あちこちのブログで「苦労しなさい、は嘘だ」という主張が見られます。苦労はするべき?それともムダ?今回はそんな話をしたいと思います。

苦労や努力には「質」がある

苦労、努力には「質」があります。苦労や努力をすれば何でもいいのではなく、質の高い苦労や努力、その逆もあるわけです。

ムダな苦労の代表例が「非効率」なものです。私が住んでいる熊本県から、東京都へ行こうとするといろんな手段がありますが、総合的に考えて飛行機での移動以外はありえません。自動車だと丸一日時間がかかる上にガソリン代と高速代がかかりすぎます。また、都内に入った後の駐車料金も尋常じゃなくかかりますので論外。新幹線もとてつもなく時間とお金がかかりますのでパス。今は安い時期に飛行機を取れば数千円で行けますし、都内に入った後の行動にも一切の成約がないので飛行機以外の選択肢はありえません。

移動手段について明らかに非効率な手段を選ぶ人はあまりいません。しかし、仕事や学習をする上では、非効率な努力が未だに横行しています。私が昔、財務・経理の仕事をしていたときのことです。決算書の分析をするため、一緒に働いていた人へ「エクセルにデータを落として、内容を見ておいてもらえますか?」とお願いをして席を外しました。

会議から戻ってみると、その人がやっているのは一生懸命、会計ソフトの勘定を見ながらエクセルへ手入力をしているのです。データをエクスポートすれば所要時間は1分、1時間以上離席して戻ってみると、未だにチコチコと入力をしているのです。これは飛行機という手段があるのに、あえて自動車を選ぶような効率性の悪さでしょう。手入力は体力も使いますから、それをやるメリットは何もありません。

…でも私もえらそうなことはいえません。義務教育時代、私は社会のテスト勉強をする時に一言一句、ひたすらノートに暗記の対象を書いていました。手と頭が疲れ、全然脳内に情報が入ってこないのに時間だけは飛ぶように過ぎていきます。もちろん、テストの結果はボロボロ。地理や歴史の勉強をするならば、手で書くのではなく何回も読む方が圧倒的に記憶として定着します。

このように苦労や努力には質があります。悪い質の努力をいくら重ねても消耗するだけで、時間のムダでしかありません。

答えを模索する努力はムダにはならない

しかしながら、たとえ思うような結論に至らなかったとしても活きた努力は存在します。それは「答えそのものを模索する努力」です。

このブログもそうですし、経営しているフルーツギフトの肥後庵も同じです。日々、新しい商品やサービス、記事の執筆などに取り組んでいますが、空振り三振も少なくありません。

でもそうした失敗の山があるからこそ、成果に結びついた経験は数多くしてきたつもりです。発明王のエジソンは次のように言っています。

発明するためには、 豊かな想像力とゴミの山が必要だ

これは発明という大成功の前には、試行錯誤の末のたくさんの失敗があるということです。あのエジソンでもこのような言葉を残しているのですから、必死に答えを模索した努力は絶対に裏切らないのです。

私は2015年に起業をするまで、数々の起業を失敗してきました。初めての起業は、銀座のレンタルオフィスに英会話スクールを立ち上げました。起業のきの字も知らないド素人ですから、当然集客なんて出来ません。半年分まったくの空室にお金を払い続ける事になりました。でも、その経験を経て、「起業をする前に、集客をする手段を持っておくべきだ」という揺るぎない理解を得ることが出来ました。その後も何度も色んなビジネスを立ち上げては潰す事を繰り返し、ようやく2015年に肥後庵のビジネスを立ち上げて今に至ります。昔、山ほど失敗した経験が今の自分を作り上げてくれています。

苦労を回避しようとする人は失敗する

世の中にはすぐに答えを求める人が少なくありません。手っ取り早く答えを求めようとする人は、苦労を回避しようという気持ちが強いのでしょう。私のもとにも

「ネットショップで簡単に稼げる方法ありますか?」
「確実に集客出来る方法を教えて下さい」

と質問が寄せられることがあります。でもそういう事をいう人は絶対に成功できないと思います。なぜかというと、失敗を避けようとしているからです。

どんなビジネスでも、人生の生き方でも100%確実な答えなんてありません。「これをやれば絶対に売れる。即成功する」なんてものは世の中にないのです。どんなにいいものでも、時代にマッチしなければ「早すぎて市場に受け入れられなかった」ということはいくらでもあるのです。また、同じことをしてもやっている人が違うだけで成果が違ったりします。

何事も試行錯誤しないと結果なんて分からないのです。いや、むしろ壁にぶつかって「さあ、どうすればいい?」と考える時が本当のスタートです。「確実な答えをくれ。早く!」という人は一度でも壁にぶつかるとすぐに諦めてしまいます。私がやってきたネットショップや記事を書く成功例をお伝えすることはもちろん出来るのですが、それを伝えて絶対に壁にぶつからないかというとそうではないのです。むしろ、必要な行動をやってみて壁にぶつかった、そこからが真のスタートだと思っています。

例えばブログもそうです。集客やブランディング、マネタイズを目的に広告を貼ったり、アフィリエイトリンクを貼ってブログを始める学生や主婦がいますがほとんど失敗しています。それはなぜかというとすぐに諦めるからです。「もういいわ。バカバカしい」と自分が感じたポイントで、ほとんどの人は投げ出しています。そこを乗り越え、ある程度の期間、試行錯誤を繰り返した結果、成功にたどり着くわけです。

サクッと成功することはスマートに見えます。ですが、それは本当にごく一部の人だけ。多くの人は答えを模索し続け、失敗のごみの山をたくさん積み重ねることで成功にたどり着くことが出来る方法なのです。

無意味に苦労しなさいというつもりはありません。しかし、自己成長につながり、己の哲学を磨くことになる「質の高い苦労」は借金してでも買う価値はあると思っています。

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。