米朝首脳会談:12日に何が起きるのか

松川 るい

金正恩氏からの親書を受け取るトランプ大統領(ホワイトハウス公式FB:編集部)

昨日のブログでは、中長期的な見立てについて書いたので、直近の12日については書き忘れたところもあるような気がするので、一体12日は何が起きると思うのか、について一言。

今後の米朝は、①核放棄の方法・段取り②体制保証から平和条約締結までのプロセスの2つを同時並行的に進めるプロセスになると思います。なぜなら、①、②のどちらもそれなりに年単位の時間がかかると予想されるから。この2つを同時並行で進めるというときに、具体的に①のどこまで進んだら②のどこまでやるのかという双方合意可能な具体的工程表について(sequenceについて)合意し、かつ、それを履行できるか、ということが課題になります。

この工程表づくりにには、双方の外交官、IAEAをはじめとする専門官の知識・知見、創意工夫が重要です。多分、12日までにはこれは間に合わないのではないでしょうか。それがわかっているから、首脳会談は一度ではない、とトランプ大統領は言わざるを得なかったわけです。北朝鮮は既に20発以上の核兵器を保有しているといわれています。廃棄には10年、15年かかるという専門家もいます。したがって、最初の核の全面放棄のステップは、「全面核査察の受け入れ」となるはずで、12日はこれが成果となることが期待されます。

あと、クレバーな金正恩は、米国に到達可能なICBMの廃棄だけは即座に実施すると約束するかもしれません。トランプ大統領はホームランドへの脅威を即時に除去した成果を誇ることができるでしょう。

12日には、短期間での全面核査察とその後の核放棄プロセスが約束される前提で、「終戦宣言」(4月の南北首脳会談における板門店宣言において年内に実現すると言及されているもの)をするということは考えているでしょう。1日の、金ヨンチョルとの会談後のトランプ大統領の記者ブリを見る限り、そのように思われます。今も水面下の調整は続いていると思います。

しかし、ちゃんと全面査察受け入れに北朝鮮を実施するかどうか。そうでないと話にならないと思うんですけど。最初から、ぐだぐだにならないように、トランプ大統領には、トランプ節で頑張って頂きたいと思います。


編集部より:このブログは参議院議員、松川るい氏の公式ブログ 2018年6月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は、「松川るいが行く!」をご覧ください。