新卒就活・転職市場での最強の英語力活用法

黒坂 岳央

こんにちは!肥後庵の黒坂です。

ペラペラと流暢に英語を話すことに憧れている人は、いつの時代も多いのではないでしょうか?私は今は潰れてしまった底辺工業高校時代から「いつか英語をペラペラしゃべりたい!」と憧れ、アメリカ留学、外資系企業勤務を経験してきました。

日本人全体で見ても英語熱は昔より更に加熱しているように見えます。下記のデータはTOEICテストの「リスニング・リーディングテスト」と「スピーキング・ライティングテスト」の受験者数を示したものです。

英語力を測るTOEICテストの受験者数は依然として増加傾向を見せています。書店でも英語学習コーナーは常に色んな本で棚が溢れそうになっており、日本人の英語熱は冷めることがないと思わされます。言い尽くされてきたセリフに「日本人の英語熱の高まりの反面、肝心の英語力は…」というものがあります。

「英語力をつけて字幕無しで映画を見たい」

「外国人と英会話を楽しみたい」

「仕事で活かして年収アップしたい」

など様々あるかと思いますが、今回は新卒就職・転職活動における英語活用法についてお話をします。

英語力を労働市場で活用する

新卒就職や転職活動といった「労働市場」の価値の考え方には色んな意見があります。中には「もう英語なんて使える人は腐るほどいる時代だ。今さら英語なんて」という人もいるでしょう。しかし、私は「英語力はうまく活用すれば労働市場でものすごい力を発揮するツール」という持論を持っています。これは身をもって体験したことで、私は人生を何度も英語に救われてきました。

大卒後の就活はリーマンショック直後でした。戦火に焼かれた街のような就職戦線に叩き出され、それはもう地獄のような辛い思いをしたものです。応募した先は100社ほど、面接は愚か、合否の返事すらない会社も多くありました。その当時の私の専門性は「会計 英語」というもので、会計は大学で学んで知識はあるものの実務経験がないのでNG、未経験の20代半ばを過ぎた新卒生を雇ってくれる会社は皆無でした。

しかし、英語が使えることでなんとか外資系企業に拾ってもらいました。ほとんどの会社に面接すら呼ばれない状態が続いたので、まさに地獄にたらされた一本の蜘蛛の糸のように感じたものです。そこから私の社会人キャリアはスタートしたわけですが、「あの時、英語力がなければ…」と考えると背筋が寒くなります。

その後、何社も転職を重ねたことで私は英語の真価を理解することになりました。私の専門性は「会計」だったのですが、それに英語力がつくことで「会計☓英語」となり、プラスアルファの市場価値をもたらしてくれたのです。会計知識や経験を豊富に持つ人材は転職市場に山ほどいたわけですが、それに加えて英語が得意な人材となるとその数は一気に10分の1、20分の1と小さくなります。

(数字はあくまで参考に)
英語の上級者(10人に1人) 10%
会計業務の経験者(10人に1人) 10%
英語が出来て、会計業務の経験者 10%☓10%=1%

という具合です。掛け算になると一気に希少性が増してライバルとの競争が有利になるのです。

労働市場において「希少性」はあまりにも強く働きます。正直、転職をしたタイミングの私の会計知識や経験はそれほど胸をはれたものではありませんでしたが、「要・英語力」というハードルがある会社への応募者数は、そうでない会社に比べてかなり少なくなりますからライバルは極めて少数になりました。本当に英語には足を向けては眠れないと当時を振り返った今でも思います。

100%完璧な英語力は求められていない

技術翻訳・通訳や商社で取引先と交渉するなら話は別ですが、多くの仕事で英語力は100%の精度を求められていません。「英語力がある人」と言われるとほとんどの人は華麗にペラペラと100%正しい英語で話せるイメージを持っているのかもしれませんが、外資系企業でも100点満点を取れなくても仕事はできるものです。

私が最後に働いていた会社は経営改革をする部署、フロアの外国人比率は50%以上です。隣の席の同僚はジョークばかり言って陽気で明るいチュニジア人でしたし、リーダーは細かいところにも目が行き届くフランス人で、上司は穏やかな性格のシンガポール人でした。ですが、そのフロアで働く日本人は、いや非英語圏の人たちは100%の英語力はありませんでした。インド人やマレーシア人は文法が間違っていたり、単語の意味を違って使っていましたが、いちいち細かい間違いにツッコミを入れる人はおらず、問題なく会議やプロジェクトは進行していきます。また、英会話はすごく上手出なかったとしても、読み書きができれば会議の後で議事録を見ることで遅れずについていくことが出来たのです。

「英語は勉強したけれどもまだまだ自信がない…」と感じている人は多いかもしれませんが、不安に思って一歩を踏み出さないのはあまりにももったいないです。人間、必要な環境に放り込まれたらなんとかなるものです。最低限の英語力をつけたら、さっさと英語のビジネス環境に飛び込んでしまうことをおすすめしますね。

今の専門性に英語力をプラスせよ

英語力は今持っている専門性にプラスアルファで活用するのが「最強の活用法」です。

私の場合は会計でしたが、これが法務でも人事でも営業でもなんでもそうです。豊富な法務の知識や経験を持っているライバルを出し抜くのはかなり大変ですが、それに英語力を身に着けて挑めば転職市場ではあっさり勝ててしまいます。繰り返しですが、法務だけ得意な人より、法務と英語の両方できる人の方が数が少ないからです。

専門性をひたすら磨き続けるのも悪くありませんが、そこにぜひ英語力を添えてみてください。専門性プラスアルファとしての英語力を備えて転職することで、想像もしないほど市場価値の高さを感じることでしょう。