社会課題における「ボウリングのセンターピン」はどこにあるか問題

音喜多 駿

こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。

昨日は朝から赤羽消防団の消防操法大会に出席していたのですが、隣に座った国会議員の方からも

「児童虐待の件、ブログに書いてたよね?あれ、本当になんとかしないとな…」

と話しかけていただき、東京都や児童相談所の現状について色々と情報交換をさせていただきました。

地元の国会議員の方もこの問題に注目してくれていることは、率直にありがたいと思います。

「この問題は法改正から予算・人員、仕組みや慣習まで課題が多岐にわたる。どこから手をつけるべきなのか、本当に難しい

とおっしゃっていて、まさしくその通りで。課題が多岐に渡るからこそ、

「まず◯◯から手を付けるべきだ」
「それでは逆効果だ、✕✕から始めた方がいい」
「拙速に動いてはダメだ、まずは調査・議論をしなければ」

などと意見が分かれることになり、議論が百花繚乱となり手がつけられない状況に陥りがちです。

そして意見対立が起こった末、せっかく変革への機運が盛り上がっているときに効果的な動きができず、結局なにも変わらなかったというケースは、これまでも多く起こってきました。

こうした課題解決を考えるときに、私はどこが「ボウリングのセンターピン」にあたるのかが重要だと思っています。

ボウリングのセンターピンは、それを倒せれば周りのピンもバタバタと倒れる可能性があります。

複雑な社会課題も、これと同様です。そこに手を付けると、周辺の課題にも影響が出て、次々と改革が進んでいく・進まざるえなくなるというポイントがあります(もちろん例外もありますが)。

多岐にわたる課題に派生して、ドミノ倒しのように解決が始まる「端緒」となるのはどれなのか。

人員増強か。
予算措置か。
法改正か。
仕組みの変革か。
意識改革か。

加えてこのとき、急所を突くことは重要ですが、「手のつけやすさ」というのも極めて大事な要素です。

「確かに予算が倍にできれば次々に問題は解決できるけど、現実的にすぐには無理だよね」

ということであれば、そこをではないピンを倒しに行くことが必要になります。

そして今回の児童虐待防止という問題を考えたとき、児童相談所と警察の「情報全件共有」はボウリングのセンターピンになる可能性があると感じています。

上記で指摘されているように、情報全件共有は万能の特効薬でもなければ、解決の最終手段でもありません。

しかし、ここが「起点」となって周辺課題に派生する可能性は非常に高いです。

一部の有識者や児童虐待に取り組む議員たちも指摘しているように、確かに単に情報の全件共有をするだけでは「重大案件への注意が薄まる」などのデメリットが生じます。

では、全件共有を実施するとして、そのリスクを回避するためにはどうすべきか?

情報を受け取る側の警察にも虐待専門部署を作る必要性が出てきますし、警察との連携強化のために児相側も人員強化が求められることになるでしょう。

人員が必要となれば予算措置が必要です。人員もただ増やすだけではなく、スキルをもった人材が必要ですから、人材育成にも目が向けられます。

そして何千件もの情報を紙ベースで情報共有をするのは非現実的・非効率ですので、紙ベースが中心となっている情報共有体制が見直され、ICT化が進んでいく可能性があります。

このように「まず情報の全件共有をする!」とトップが決断することにより、周辺課題に多くの影響が及んでいく可能性があるわけです。

さらにここで重要なのは、情報の全件共有それ自体は新たな予算や議会承認を必要としない点です。

行政のトップ=知事が決断すればすぐにできることですから、動き出しとして非常にスムーズに開始することができます。

そして全件共有を進めていく中で、具体的に不足する部署や人員・システムが明らかになってくれば、予算措置や人員増強・構造改革にも手がつけやすくなるでしょう。

以上が今回、私が「ボウリングのセンターピン(になる可能性)」として、児相と警察の情報全件共有を強く推す理由です。

またこうした社会課題の解決については、時として「拙速は巧遅に勝る」ことにも留意する必要があります。

目黒区虐待死事件のセンセーショナルな報道を受けて、かつてないほどにこの問題に対して世論が注目しています。

こうした状況下においては、政治家もパワーをもって変革を成し遂げやすく、問題解決の機会となります。

一方で民主主義社会・情報化社会においては、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」というのも残念ながら冷酷な現実です。

このタイミングを逃してアレコレと慎重に議論を重ねていたら、いざやろうとしたときに世論の盛り上がりはすでになく、予算措置も法改正も難しい状況になってしまった…ということも十分にありえます。

「いま」「このときに」どこまで踏み込んだ児童相談所改革に踏み出せるかが、虐待死をなくしていく大きなターニングポイントです。

都政におきましても、本定例会中にできるだけ具体的な施策にまで踏み込めるよう、引き続き強く提言を続けて参ります。

●もう、一人も虐待で死なせたくない。総力をあげた児童虐待対策を求めます!

こちらへの署名などで、世論からも後押しをいただければ幸いです。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年6月17日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。