大阪地震よりモリカケ?こんな野党は邪魔なだけ

新田 哲史

大阪北部地震で被災された皆様、心よりお見舞い申し上げます。また亡くなられた被災者の方々、ご遺族の皆様にも心よりお悔やみ申し上げます。

最大震度6弱の一報を聞いたのは、羽田から地方出張のフライトに飛び立つ直前だった。後ろ髪を引かれる思いで東京を丸一日開けざるを得なかったが、昨晩遅く帰宅してからたまたま目に入ったネットニュースに目を丸くしてしまった。地震直後に開催された参議院の決算委員会で、野党は相変わらず「モリカケ」追及に精を出したというのだ。

野党は相変わらず「モリ・カケ」…有権者冷ややか 国民、社民の支持率は0.8%に(産経ニュース

石上氏(参議院インターネット中継より)

先述の記事はFacebookのいいねの数が約2200(19日未明時点)の大反響。未読の方は、原川貴郎記者によるオピニオンを兼ねたレポートがよくまとまっているので、ご覧いただきたい。

地元の新潟知事選で敗れたばかりの立憲民主党、風間直樹氏はさすがに政権批判一辺倒だった反省からか北朝鮮問題に絞る変化を見せたそうだが、同じく新潟県出身で国民民主党の石上俊雄氏(比例選出)は、相変わらずのモリカケ。ちょっとゲンナリさせられた。

しかも昨日は大阪での大地震。政府が震災対応に全力を注ぐ為に、そもそも国会審議をやること自体に疑問に思うが、石上氏の質疑の動画を一応みてみると、産経が煽るほどの「モリカケ一辺倒」ではない。質問の冒頭で被災者への見舞いの言葉を述べてもいるし、震災の次は米朝首脳会談や骨太の方針も取り上げている。

それでも、なんだかバツが悪く思えて残念なのは、先日の党首討論で同党の玉木代表が先日の党首討論で、モリカケを見送り、安倍政権の対米外交を追及したことで、独自色を出して一目置かれつつあったばかりだったからだ。全体の印象としては、「結局モリカケかよ」と思われてしまい、産経にも書かれて、玉木さんの工夫がはやくも「台無し」になりそうでなんだかな、と思えてならない。

玉木さんや国民民主党の所属議員は最近アゴラをよくお読みいただいているそうなので、念のため、誤解されないように申し上げると、モリカケを取り上げること自体を否定はしない。独自調査で新事実を発掘でもしたのであれば、まだ少しは理解する余地はある。

あるいは、玉木さんがすでに提案している特別委員会の設置をあらためて迫るなど独自色を出す工夫もあればいいのだが、産経の記事でも指摘されているように、すでに報道されている公知の事実の繰り返しに過ぎなかった。質問の最後に「重要な局面です、外交も。そういった中で国内の問題は積極的に解決するように要請いたしまして質問を終わります」と締めたものの、目新しい話はない。果たして取り上げる意味はあったのか極めて疑問だ。

折しも今週発売の「新潮45」7月号で、野党政治家を厳しく批判した特集「こんな野党は邪魔なだけ」に寄稿させてもらった。枝野氏や福山氏、蓮舫氏など、おなじみの左派政治家の多くが槍玉に挙げられていて、国民民主党からは民進党分裂の戦犯として前原さんが追及されたくらいで、特に国民民主党のスタンスについては問題視されていなかったが、しかし、産経に社民党と並び称されてしまって「邪魔者」扱いされてしまうのは、なんだかもったいない。

ちなみに私が寄稿したのは、「女難『細野豪志」の終わりなき迷走」。編集部がつけたタイトルが実に辛辣で(汗)、いまは孤高の無所属の細野さんに辛口のエールを贈らせてもらったが、安倍政権を消極的に支持する中間層から一目を置かれ、あるいは安倍首相の支持者たちにも「敵ながらあっぱれ」と好敵手にみられる野党は出現するのだろうか。

新潮45 2018年07号
新潮社
2018-06-18