核兵器をめぐる「日米30年の誤解」

7月16日に、日米原子力協定の期限が来る。これは1988年に結ばれた日本の核燃料サイクルを認める二国間協定だが、その条件は「利用目的のないプルトニウムは持たない」。平和利用にすべて使い、核兵器の材料になる余剰プルトニウムは持たないという意味だ。

しかし日本の電力会社が保有しているプルトニウムは47トンで、ここ数年ほとんど減っていない。協定の延長を前に、アメリカは日本に「プルトニウム削減」を迫っている。北朝鮮の非核化を進める上で「潜在的な核保有国」である日本を牽制しようという狙いだと思われるが、そこには大きな誤解がある。

「プルトニウム削減」は無意味

プルトニウムはアメリカが長崎に落とした原爆の材料だが、これは原発でウランを燃やすと発生するので、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを分離する。これは本来は高速増殖炉の核燃料になる予定だったが、その原型炉「もんじゅ」が廃炉になったため、今はプルトニウムをウランと混合したMOX燃料として「プルサーマル」と呼ばれる原子炉で燃やしている。

原発で燃料として利用したプルトニウムをもう一度リサイクルできるわけだが、このプルサーマル原子炉は4基しか動いていない。そのうち2基で処理したプルトニウムは年間1トンだから、4基がすべて稼働しても2トン。それ以外に4基あるが、すべて稼働しても消費量は5トンに満たない。

青森県六ヶ所村の再処理工場では、年間最大8トンのプルトニウムができるので、フル稼働するとプルトニウムが毎年3トン増えてしまう。このため原子力委員会は、再処理工場のプルトニウム生産に「上限」を設けることを検討している。来月、閣議決定される第5次エネルギー基本計画にも「プルトニウム保有量の削減に取り組む」と明記する方針だ。

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