日本サッカー最大の敵はベルギーじゃなくてコメンテーター --- 天野 貴昭

寄稿

先日、アメリカのメディア事情に詳しいジャーナリストがご登壇するセミナーにて『世界のネットメディアに於けるフェイクニュース対策の現状』なるお話を伺てきました。

登壇者によるとアメリカのジャーナリズム界では表現の自由を遵守する意識が非常に高く「ウソを言う自由」すらも尊重されているのだそうです。

『私はあなたの意見には反対だ。しかしあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る。』
正しくヴォルテールの言葉通りの社会
が存在するようです。

ただし、彼の国ではウソを言う自由様にウソを暴く自由保障されていて、現在SNSを中心としたネット上のフェイクニュースを糾弾する組合…いわネットガーディアン的な組織が世界の随所設立されているのだそうです。

対して日本のメディア環境には「全くの嘘ニュース」よりも「ウソではないがいい加減な話」がとても多いそうで、ジャーナリスト氏らは現在そういった「日本風フェイクニュース」を糾弾する媒体の設立に向け模索しているそうです。

大変興味深いお話でした。

ただのミス批判は百害あって一利もない

さて今回の本題ですが、過日残念ながら敗退したワールドカップの日本代表、これだけ大規模に注目されていれば様々な批判に晒されるのも当然であって、彼らも職業としてサッカーをしている以上はそれを受け入れるべきだとも思います。

ただし、いくら何でも酷い批判も横行していて非常に残念な気持ちになっています

例えばこれがオリバー・カーンがGKを批判しただとか、セルジオ越後が選手起用を批判したというのならばわかるのです。

彼らはサッカー界に強くコミットメントしていますので迂闊なサッカー批評をすれば彼ら自身のバリューが下がります、彼らは彼らの誇りをかけて自由に発信すればいいと思います。

問題なのは「弁護士の視点で…」「政治学者の立場から…」などといった『サッカーとは全く関係ない職業の謎識者? 』による意味不明な理屈を捏ねた批判を鵜呑みにした皆さんが怒号に近い批判を垂れ流している事です。

ここで勘違いして頂きたくないのは、私は部外者(いわゆるニワカ)による批判自体が悪いとは申していません、そもそも私自身が大した男ではありませんし。

しかし、今更言うまでもないでしょうが、政治学者のキャリアも弁護士経験もサッカーとは一切関係ありません

サッカーご覧になった弁護士さんがサッカーを比喩にして司法を語るというならいざ知らず、サッカー自体を批評をするならばそれは別に普通の人の一意見です。部外者が批判するならば関係者以上にきちんと根拠を示すのが当然の事です。

「そういった人たち」の批判を伺っていると、局面のミス批判、揚げ足取りな話が散見されます。

はっきり言いますがそんなもん誰にだってできます

また以前の記事でも一部触れた通り、現代サッカーはボール所持者へのプレッシャーが強く、敢えてミスが誘発されやすい構成となっていますので、ミス自体の言及だけで発展性が起こらない意見などは全く役に立ちません。批判するならば根拠を示す事はあたり前のことです。

コメンテーターの皆さんもテレビ局や新聞社の皆さんも批判する事が商売なのでしょうし、また「社会的地位のある人が発信する、誰にだって言える批判」に潜在的なニーズがある事はわかっているつもりでいますので、私は批判をするなとは申しませんが、くだらない揚げ足取りを放置してしまうと、GK、DF、ゲームメーカー、そして監督といった「ミスが非常に目立つポジション」の人材が萎縮し、存分な強化が達成できなくなる可能性が危惧されます。

それは4年後のワールドカップで更なる成長を遂げた日本サッカーを望む私にとっては大変困ります。

メディアの皆さんの生活の為に才能ある選手が潰されてもいいという道理は無いと思うのです。

そこで今後は、どう考えても発展性が望めない只の揚げ足批判に対しては、はっきりと「これではただのイジメでは? 」「批判するならばお宅様の肩書きにかけて、きちんとした根拠を示して欲しい」…と逐次逆批判をさせて頂きたいと思っています。

勿論、私も批判する以上は発信責任は負いますので、私の逆批判に対する再批判も甘んじてお受け致す所存です。

あまのさん(takaaki amano)

天野 貴昭
トータルトレーニング&コンディショニングラボ/エアグランド代表
@tamano_ins