5月30日、札幌のホテルにチェックインし、そのまま北海道大学に直行した。6月1日から始まる学園祭、北大祭の実行委員会責任者に取材するためだ。北大祭は今年60回を迎えた。昨年10月から学生主体で準備が始まり、当日の交通整理や案内、ごみ収集を含め学生ボランティア計130人が企画する一大イベントだ。中国には学生自治が極めて限定されているため、中国の学生にとっては非常に新鮮な経験となる。
取材の窓口になってくれたのは北大祭実行委員会広報担当の戸島大雅君(法学部3年生)、取材に応じてくれたのは、実行委員長の三宅隆裕君(工学部2年)。私たちが交通に要する時間を読み誤り、約束の時間から1時間近く遅れたにもかかわらず、辛抱強く待っていてくれた。申し訳なく思うと同時に、非常にありがたかった。
彼らの紹介によると、北大祭の売り物は1.2キロのメーンストリートに並ぶ模擬店で、今年は過去最大の230店が参加した。30日はサークルや学部クラスなどの各グループが、ポスターや装飾作りに取り組んでいるところで、貴重なインタビューの機会もできた。北大の学生たちが和気あいあいと楽しみながら作業をしている姿を見て、彼女たちは「こんな学生生活を夢見ていた」とうらやましがった。
掲示板に乱雑に貼られたサークルの勧誘チラシ、学生が小グループで談笑し活気にあふれたラウンジ、目に入るものすべてが印象的だった。中国では過重な授業カリキュラムに追われ、学校が募集するボランティア活動に参加し、就職のための長期インターンシップもこなさなくてはならない。アルバイトをし、サークル活動を楽しむ日本の学生たちは、縁遠い存在に映ったようだ。
1日の北大祭初日、中国人学生たちは取材をしながら、思い思いのコスチュームが特に印象深かったようで、さかんに写真を撮っていた。北大祭の印象をつづった学生の感想文には以下の写真が掲載されていた。
模擬店の中には、各国の留学生による模擬店30店が並ぶ「International Food Festival(IFF)」エリアが設けられ、北大祭の特色の一つとなっている。最も多い中国人留学生は水ギョーザやショーロンボー、シシカバブーなど最大の4店舗を出店していた。
ちょうどいいタイミングで日本の大学の学園祭を間近に見て、参加できたのは、得難い経験だった。
(続)
編集部より:この記事は、汕頭大学新聞学院教授・加藤隆則氏(元読売新聞中国総局長)のブログ「独立記者の挑戦 中国でメディアを語る」2018年7月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、加藤氏のブログをご覧ください。