平成最後の夏、九州から東海地方にかけて記録的な豪雨が襲った。NHKニュース(7日21日時点)によれば49人が死亡、5人が意識不明の重体。行方不明は48人を数えた。
岡山県倉敷市のように堤防の決壊で広範囲が水没する地域や、土砂崩れで鉄道や道路が寸断、橋が流されるなどインフラ被害が続出。いまだ停電が続く地域もある。大震災ほどではないにせよ、これほどの広域で甚大な水害となれば、生活再建に時間を要するだけでなく、地域経済、自治体経営に中長期でダメージを与える可能性が憂慮される。
水害の被災規模で今後注目されそうなのが、国土交通省による水害統計調査で算出される被害額だ。
ここでいう水害被害とは、一般資産(家屋、家庭用品、農漁家資産、事業所資産、農作物)、公共土木施設、公益事業等の被害額をさしている。人的損失、交通機関ストップによる波及被害、企業の部品・製品供給機能損失の影響などは含まれておらず、全体の被害額はさらに上回るが、一つの目安にはなる。
折しも、ちょうど1年前に国土交通省が発表した資料によれば、2016年の水害被害額は約 4,620 億円で、過去10年(2007〜16年)の水害被害額で2番目に大きかった。
過去10年でもっとも大きかったのは2011年の7,290億円。これは東日本大震災の津波被害を除いての算出だが、この年の8月、紀伊半島など西日本を中心に猛威を振るった台風12号で、全国で死者83人、行方不明者15人を数え、約3,200億円という突出した被害額を計上した影響が大きかった(出典:2013年の確定値発表時)。
なお、国土交通省が水害被害額の統計を取ってからもっとも大きかった被害額は、2004年の約2兆1394億円で突出している。この年は夏に新潟、福島、福井で豪雨が続き、10月に上陸した台風23号が全国各地で死者95人を出すなど、通年の死傷者数が約3,200人、被災建物棟数が約20万棟という惨状となった。
今回の大水害は、死者数で2004年の台風23号、2011年の台風12号に匹敵するかまだ分からないが、豪雨が西日本の大半の地域に降り注ぎ、広範囲で被害の全容が明らかになり、過去10年で最悪の被害額になる可能性も憂慮される。
ヤフー、LINEが募金受付開始
ネット企業各社は7日、自社サービスを活用しての被災者支援に動き出した。
ヤフージャパンはネット募金を開始。500万円を上限に、同社からもユーザーからの寄付額と同じ額を提供する「ダブル寄付」を試みたところ、7日深夜に500万円に即日で到達した。その後もユーザーからの寄付受付は継続しており、8日0時すぎ時点で約12,000人から約670万円が寄付されている。
LINEも、LINE PayやLINEポイントを使った寄付の受付を開始。31日まで実施する。
また、起業家の家入一真氏は7日深夜のツイッターで、経営するサービス「polca」「CAMPFIRE」を活用しての緊急災害支援金集めを開始したことを明らかにした。