BOSS缶が飲みたいのに売ってない!アナタはどうする?

尾藤 克之

写真は野呂さん(リクナビNEXTジャーナルより)

ここに、フォーブスが報じた、「運と成功」に関する興味深い研究結果がある。イタリアのカターニア大学の研究によると、最も富をもたらしていた人は「最も運がいい」とされた人たちだった。データや効率化が重視される時代、運のことを「目に見えなくて、よくわからない」という人もいる。もしかしたら「運」を逃しているかもしれない。

今回は、『成功を決めるのは才能よりも運』(大和書房)を紹介したい。著者は、放送作家の野呂エイシロウさん。運をよくするにはルールがあった。運がいい人と悪い人はどこが違うのか。「運の見つけ方、つかみ方、作り方」が明らかにされる。

「こだわり」を持つ人に運は宿る

なぜ、成功した人たちは「運がよかっただけ」と言うのか?運をつかむための行動からマインド、運を上げる方法、運をコントロールする方法とはなにか。

「運はこだわりを持ったところに、自然に生まれます。友人に北川一成さんというグラフィックデザイナーがいます。彼は人をハッピーにさせるデザインにこだわり続けて、試行錯誤をくり返しています。『ああでもない、こうでもない』と考え抜いた先に、運のエキスみたいなものがあって、素晴らしい作品が生まれるのではないでしょうか。」(野呂さん)

「サロン・ドュ・ショコラで優勝したこともある有名なパティシエさんのマネージャーさんも、面白いことを言っていました。お店に並んでいるケーキは、誰が作ったのか、お客さんにはわかりませんが、なぜかそのパティシエが作ったものから売れていくというのです。彼は細かいところに真剣に向かい合う人で、 フルーツには顔がある、と言って、このイチゴの顔の向きはどちらだとかすごくこだわって飾るのだそうです。」(同)

誰にでもこのような経験はないだろうか。筆者はコンサルタント会社に勤務している頃、やり方にこだわりをもっていた。毎年、運の風が吹いてくれた。いままで採用をやったことがない会社が、時間がないことを理由に丸投げしてきたり、社長が交代して、人事制度刷新が急務となり突然発注されたり。ほぼ毎年、私の実績はトップクラスだった。

「僕も台本やブログを書いていて、そういう境地に到達できる瞬間がたまにあります。後からそのときに書いたものを読み返すとすごく文章に勢いがあるし、ブログだとあっという間に10万PVを超えたりします。『中途半端に終わらせない』『絶対に妥協しない』というこだわりは、運の神様にもの人たちにも、ちゃんと伝わるのです。」(野呂さん)

「これから宇宙に行こうというときに、適当に乗組員を選ぶ船長はいないし自分や家族の命がかかった手術の執刀医を適当に選ぶ人もいません。真剣に選択し続けていくと、理想とするものが来たときにサッと選び取ることができるようになります。『なんでもいいや』と思って選んだりしていると、全部ダメになっていくと思うのです。」(同)

真剣に選ぶとはどういうこと

では、真剣に選ぶとはどのようなことか。野呂さんは次のように解説する。

「たとえば『辛口のカレーライス』といっても、辛口という味は人によって違います。そういう曖昧なものに対する基準をちゃんと自分で持っておかないと、ちょっとずついろいろなことに妥協してしまい、運を察知するレーダーが働かなくなっていきます。真剣に選ぶことをくり返した先に、人生が開けていく。僕はそう思っています。」(野呂さん)

「たとえば、いまBOSSの缶コーヒーが飲みたいと思ったとします。でも、自動販売機に売っていませんでした。その自動販売機にあるものでヨシとしよすか?それとも、BOSSを見つけるまで他の自動販売機を探しますか?運がいい人は、後者です。」(同)

野呂さんによれば、他の自動販売機をあたり、「あ、ここはBOSSがあった!今日はラッキーだな」と思って買うことが運につながってくるそうだ。

「一方、他のコーヒーで我慢したり、『コーヒーが飲みたかったけど、コーラでいいか』などと妥協をしていると理想とは違うものを手にすることに慣れ、やがて自分の人生にも妥協していくようになります。同様に、アユを釣りに来たなら、アユが釣れるまで頑張る。違う魚が釣れたからいいやと思わないことです。」(野呂さん)

これは、自分の理想に向かって歩いているときに、運をいっぱい拾えるという解釈ができる。欲しいものが現れるまで手に取らない。あなたの行動はいかがだろうか。なお、本記事作成のため本書一部を引用し編纂している。

尾藤克之
コラムニスト