組織いじりをしても碌なことがない、というご批判が返ってくるだろうが、わが国の防災体制と危機管理体制は相変わらずのようだ。
気象庁がいくら特別警報を出しても、現地の方々は被害が発生するまで動かない。
自衛隊には気象庁の特別警報を受けて出動する仕組みがないようで、政府の災害対策本部や自治体からの出動要請がないと動けないそうだ。
今は、現地におられる方々からインターネットを通じて様々な情報が配信される時代になっているが、テレビ局はそういう情報を収集して臨機に発信する体制にはなっていない。
テレビで被災地の最新情報が配信されているように思っていたが、スマートフォンを通じて現地から届く救助要請などを集約して広く一般に周知させる機能を有している行政機関も報道機関も現時点ではないようである。
災害列島と言われるわが国としては防災体制や危機管理体制に大きな抜かりがある、と言われても仕方がなさそうである。
石破さんは復興庁を改組して防災省にすることを総裁選の公約の一つにする、ということを検討されているようだが、この際、総裁選に絡めないで、防災・危機管理省の設置を皆さんで検討されたら如何だろうか。
堤防が決壊して甚大な被害を被った岡山県真備町では被害想定どおりの大きな被害になったようで、近々防災工事が行われる予定だったなどと聞くと、今回の被害はひょっとしたら回避できたのかも知れない、自然災害ではあるが、人災という一面も否定できないのではないかしら、と思わざるを得ない。
私たちに出来ることには限界があることは重々承知しているが、防災や危機管理の問題を専門に取り扱う部署を設置して、同じような過ちを繰り返さないようにしていただきたいものである。
総理の外遊中止は、当然でしょう
今月の5日に赤坂の議員宿舎で開催された自民亭なる酒席の会に出席されたことで批判があったが、この段階ではこれほどの大災害となる予兆はなかったのだろうから、これはやむを得なかったと言わざるを得ない。
西日本豪雨災害の惨状を前にして総理が外遊に踏み切ったら、野党に内閣不信任案の提出についての正当性を付与するだけだったろうから、外遊を取り止めにされたのはよかった。
安倍総理は、被災者の救出救助のために全力を尽くす、と仰っていたのだから、被害の全容が分からない段階で総理が日本を離れてしまったのでは、無責任だと言われかねないところだった。
官邸は、ギリギリのところで間違いのない判断をした、と言っていいだろう。
今のところ、安倍内閣の危機管理は相当に周到だと評価していい。
安倍内閣の支持率が、また上昇したようである。
何か変だなあ、と思うが、これが現実である。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年7月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。