マイホーム買ったら「おめでとう!」ではなく「大丈夫?」

内藤 忍

昨日はグルメサイトを世界展開する会社の社長さんに連れられ、絶品中華のお店に行きました(写真)。そこで話題になったのは、お金でした。

お金を借りる「借金」という言葉にはネガティブな響きがあります。子供の頃、お金は借りてはいけないと教えられて育ちましたが、それは間違っていることを知りました。借金には「良い借金」と「悪い借金」があるのです。

良い借金とは、投資のための借金です。お金を借りて、それ以上の収益を上げることができれば、その差額から利益を得ることができます。投資にはリスクがありますから必ず儲かるわけではありませんが、リスクをコントロールすれば成功の確率は高まります。

企業が大きく成長するのは金融機関からの借入や、社債を発行するなどしてお金を借りることで大きな投資をして収益を上げることができるからです。もし、ソフトバンクが無借金で企業経営を行っていたら、これほど大きな会社になってはいないはずです。

一方の悪い借金とは、消費のための借金です。自分の今の快楽のためにお金を使う。カードローンで洋服を買ったり、自動車ローンで車を買うのが典型的です。先に消費の喜びを味わってから、そのツケを後に回して払っていくということになります。

住宅ローンも同じです。マイホームという喜びを先に受け取って、後から30年や35年のローンでそれを返済していくのです。資産性のあるマイホームならまだしも、多くの人が購入するマイホームは資産性が低く、ローン完済時の価値があまり期待できない場合が多いのです。

同じ不動産でも投資のための物件で、将来の資産性が落ちにくいものであれば、お金を借りるのは良い借金と言えます。

2つの大きな違いは「誰がローンを返済するか」です。

住宅ローンの返済はお金を借りた人が自分が働いて稼いだ収入から行います。サラリーマンであれば年収から源泉徴収された税引き後の手取りの金額からローンを払い続ける必要があります。繰り上げ返済するのであれば、さらに収入を削っていかなければなりません。

不動産投資ローンを返済してくれるのは、家賃を払ってくれる賃借人です。毎月入ってくる家賃からローンを返済し、差額は自分のキャッシュフローとして収入になります。空室にならない限り、自分がローン返済することなく借金の返済を自動的に行ってくれるのです。だからこれを「不労所得」と呼ぶ人もいます。

マイホームには長期のローンを自分が働いて返済しなければならないリスクがあります。だから、マイホーム買ったら「おめでとう!」ではなく「大丈夫?」というのが正しいのです。

逆に、不動産投資を始めたら「大丈夫?」ではなく「おめでとう」というべきです。ただし、間違った不動産投資をしてしまうとこちらも「大丈夫?」になってしまう可能性があります。正しい知識を持って始めることが大前提です。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年7月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。