こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
昨日は日本財団ビルで開催された
「もっと話そう、ちゃんと学ぼう。これからの性教育プロジェクト」
に参加をしてまいりました。
東京都では今年3月、足立区で行われた性教育授業に対して、一部の都議が「過激すぎる」とクレームを付け、都教育委員会が指導に入ったことが大きな論争を巻き起こしています。
中学の性教育に「不適切」 都教委、自民都議指摘受け指導へ 区教委「ニーズに合う」(朝日新聞)
性教育に圧力をかける自民都議は正しいのか(駒崎弘樹Blog)
こうした背景を経て、若年層の妊娠相談などを実際に行っているいくつかの団体が協力して、こうしたはじめての試み・勉強会が開催されたそうです。
各団体の代表者からは、
・性教育の早期実施に適切な効果があることは、多くの研究で明らかにされていること
・実際に現在の若年層は、早くから性行為に直面している現実があること
・行政がカバーできない若年層への啓蒙・支援を、多くの民間団体が担っていること
などが発表され、私の考え方・立場からすればまったくその通りだと膝を打つことばかりでした。
しかし現実問題としては、「性教育が過激すぎる」とする論調が保守政治家を中心として根強く、それが我が国の教育行政に深い影響を及ぼしている実態があります。
質疑応答の中でも、「このような(現実離れした)純潔教育に、一部の政治家が入れ込む理由は何なのか?」という率直な疑問が呈されておりました。(今は純潔教育ではなく「禁欲主義的教育」などと言うそうです)
登壇者の先生も苦笑いをしながら「それはなかなかわからない」とおっしゃっていたわけですけども、これに関連した私なりの見解を示しておきますと。
一般論として「教育」という分野は、具体的な成果が出るまで十年単位の時間を要するため、選挙のために短期的な成果を求める政治家にとっては「魅力的」とは言えない分野です。
そのため、一部の教育に熱心な族議員を除いて、多くの有力政治家にとって残念ながら「優先順位が低い」領域になっていることが考えられます。
そして「教育」という分野は、前述のように施策の実施→効果測定に長時間を要するなどの困難があるため、科学的な根拠ではなく、経験者の実体験や思想が色濃く政策に反映されてきました。
「教育」という、ある種の科学ではなく曖昧模糊として領域では誰しもが一家言を持っており、声の大きい「大御所」と言われるような人の意見が通りがちです。
以上のような背景が組み合わされますと、
性教育に思い入れのある一部の議員が、自己体験に基づいた経験から熱心に取り込む
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周囲の政治家は、あまり関心がないのでその熱意に流される(例:山谷議員に対する小泉氏、安倍氏など)
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それが政治行政の「メインストリーム」となってしまう
こうした流れが、これまでの日本の性教育行政を形作ってきたことが推察されます。
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しかしながら「性教育」の効果に科学的なエビデンスがなかったのは過去の話であり、今や数々の研究で「早期の性教育は性交を遅らせるなど、適切な効果を発揮している」ことが裏付けられています。
なんでもかんでも世界の潮流に合わせればよいというわけではありませんが、個人の思い入れや熱意ではなく、こうしたエビデンスに基づく政策決定は尊重されるべきでしょう。
今日の勉強会には都議会議員を始め多くの議員たちが参加しておりましたが、ほとんどは女性議員で、男性議員もいわゆる「若手」と言われる層が中心。
こうした性教育の実態を届けたいベテラン議員たちにはなかなかリーチしないことには歯がゆさを覚えつつ、心ある議員の仲間たちと連携しながら、東京都で適切な性教育が実施されることを求めていきたいと思います。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年7月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。