株やドル円、原油価格などの先行きを値動きから占ってみた

今後の金融市場の動きをファンダメンタルズやイベントリスクなどをいったん無視して、純粋に価格の動きだけ、つまりチャートから占ってみたい。

日本の株式市場について日経平均の最近の動きを確認してみると、今年1月に24000円台に乗せたあと3月に20000万円近くまで下落し、そこがいったん底となった。5月に23000円台を回復してから、再び22000円割れとなったところで切り返し、再度23000円に接近した。その後再度売られ、21500円をいったん割れ込んで、ここにきて下げ止まりつつある。日足チャートでみると23000円のところでダブルトップを形成したようにみえたが、ここにきての相場上昇でそれが崩れる可能性が出てきた。これにより日経平均は再度23000円を試し、ここを抜けてくる可能性がある。

それをフォローしそうなのが、ドル円の動きか。ドル円は今年初めの113円台から、3月にかけて下落基調となり、104円台まで下落した。その後は上昇トレンドを形成し、7月18日には113円台に上昇している。今年初めの水準に戻ってきたことで、ひとまず115円を試しにくる可能性がある。これは日経平均の押し上げ要因となりうる。

更に米株も日経平均のフォローとなりうる。ここにきてナスダックが切り返しており、再び過去最高値を更新してきた。米中の貿易摩擦拡大の懸念等はあるものの、ナスダックはチャートからみて地合そのものは悪くはない。S&P500もあらためて1月末につけた高値を取りに行く可能性がある。これに対してダウがなかなか抜け切れない格好となっている。

米長期金利の動向をみてみると、ひとます低下基調トレンドから2.8%台での足踏み状態となりつつある。今後、戻りを試し、2.9%あたりをつけてくる可能性はある。2.9%台に乗せると物価動向など次第では3%が再び見えてくるが、こちらもなかなか抜けきれない。

物価の押し上げ要因となりそうなのが、原油価格の動向となる。WTIは一時75ドル台に上昇した。トランプ大統領は原油価格の引き下げを望んでいるようだが、サウジアラビアなどはWTIで80ドル台への上昇を見込んでいるとされる。ただし、75ドルを付けてからは、いったん達成感も出たのか売りに押されて、70ドルを割り込んできている。これで上昇トレンドが終了とみるのは、まだ早計か。ただし、今回の調整はやや長引くかもしれない。

世界的な景気拡大が続くとの前提に立つと、いずれWTIが80ドルを突破し、それが米長期金利の上昇を促し、米長期金利の上昇によって日米の長期金利差が拡大し、ドル円も上昇してくると言うシナリオもありうるか。

日米金利差については、米国の長期金利の動向次第となる。日銀の長短金利操作付き量的・質的緩和政策が続く限りは、日本の長期金利はゼロ%近辺に抑えられる。ただし、債券市場の機能低下などの副作用が見え始めており、何かしらの金融政策の微調整は今後ある可能性も。ただし、それでも日本の長期金利の上昇は限られよう。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年7月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。