「退職までに一体いくら貯めればいいのか!」。1000兆円を超える国の借金問題をはじめ、増税、年金不安、期待を持てない昇給や退職金などを背景に、「老後不安」がただよっている。今後も、年金は減額になるだろうし、どのくらいの蓄えを準備しておく必要があるのか。正解はないものの、一定のシミュレーションはしておきたい。
今回は、『まだ間に合う 老後資金4000万円をつくる! お金の貯め方・増やし方』(明日香出版社)を紹介したい。著者は、ファイナンシャルプランナー(CFP(R)、1級FP技能士)、社労士として活動している、川部紀子さん。庶民的借金の三大悪は、リボ払い、キャッシング、カードローンであると、強く警鐘をならしている。
クレジットカードは使い過ぎてしまうから危険
――キャッシュレス化が進む中、クレジットカードや電子マネーだと、お金を使っている感覚がないので無駄使いをしてしまうという意見がある。
「私が20年前のファイナンシャルプランナーだったら、現金払いを推奨したかもしれません。今は、のんきなことは言っていられません。キャッシュレス化がどんどん進む中、上手に生きていかなければならないからです。今こそ、クレジットカードや電子マネーでも無駄使いなどの支障がないよう耐性を付けていくときです。」(川部さん)
「大前提として、クレジットカードの場合は、一括以外の支払方法はすべて無駄使いだと思ってください。手もとにないお金で買い物をしている可能性がありますので、無駄使いどころか『借金』の可能性があります。」(同)
――クレジットカードは、欲しいモノを見つけてしまって現金の持ち合わせがないときに使ってしまいがちだ。給料日前には「魔法のカード」として活躍することもある。給料日前に、自分のご褒美として使っている人もいるのではないか。
「お給料前の買い物をイメージする方が多いのですが、それがもう間違えています。クレジットカードは欲しいものを買うよりも、必要な支払いをするものだと発想をシフトしてください。例えば、病院やスーパー、コンビニ、スマホ料金や公共料金の引き落としなど、絶対に払うべきものの支払いで使うのです。」(川部さん)
「そして、クレジットカード・電子マネーの利用で指摘したいのが、利用履歴を見ていますか?ということです。スマホでいつでも履歴を確認できますよね。できなかったらできるものに変えてください。リアルタイムで利用履歴が更新されるものもありますし、せいぜい数日後にはアップされますからまめにチェックしましょう。」(同)
――利用履歴をチェックすることで、現金よりも支出が見える可能性がある。お金を使い過ぎて貯まらない人は、現金の引き出し頻度が多いという特徴がある。5000円程度の現金を、何度も繰り返して引き出すクセのある人は要注意だと川部さんは指摘する。
庶民的借金の三大悪が存在する
「庶民的借金の三大悪は、リボ払い、キャッシング、カードローンだと考えています。これらを利用してしまったら、『人生詰んでいるグループ』に片足を突っ込んだようなものです。意に反してあちこちで起こっているのが『いつの間にかリボ払いになっていた』という恐ろしい現象です。なぜ、こんなことが起こるのでしょう。」(川部さん)
「クレジットカードを作る特典として『最大○○ポイントをプレゼント』などという広告を目にしませんか?大概『リボ払い』が入っています。初期設定がリボ払いのカードも存在します。この場合は、いつの間にかどころか『最初からリボ』です。しかも利用明細を見なければ気付きません。『いつの間にかリボ』は起こり得るのです。」(同)
――こうなると、会計の際に一括を指定しても、リボ払いに変換されてしまう。返すべき額が多ければ、完済はどんどん後に先送りになり、その分手数料もたっぷり払うことになる。終わらない返済の旅に出てしまったら、なかなか旅を終えることはできない。
「明細やカードの設定をしっかり確認して、もしもの時は、カード会社に設定の変更を申し出るようにしましょう。キャッシング、カードローン、と共に、リボ払いに手を出すことのないよう、何とか死守してください。『がんばった自分へのご褒美』と脳裏に浮かんだ時、それはブレーキを踏むべき瞬間です。」(川部さん)
――これからの、年金減額、増税を控えた時代をどう賢く生きるかはあなた次第でもある。「キャッシング」「リボ払い」「カードローン」、さらには、「がんばった自分へのご褒美」は要注意である。思いあたる人は見直すことをおすすめしたい。
尾藤克之
コラムニスト
新刊情報(11冊目)
『即効!成果が上がる 文章の技術』(明日香出版社)