マイホーム取得済みのミレニアル世代の7割が、後悔している理由

リーマン・ショックから10年、中古と新築の販売件数はそれぞれ金融危機前の水準を回復しました。住宅保有率も2016 年4~6月期に62.9%と1965年に記録した過去最低に並んでから、今年に入って1~3月期に64.2%と約4年ぶりの水準へ改善。住宅市場回復には、米国で最大の消費者層とされるミレニアル世代も貢献したものです。

住宅保有率は、一旦底打ちの様相。

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(作成:My Big Apple NY)

BNPパリバ傘下のバンク・オブ・ザ・ウエストの調査によれば、ミレニアル世代(ここでは21~34歳)の10人のうち4人がマイホーム取得組だといいます。

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(作成:My Big Apple NY)

かつてのアメリカン・ドリームを体現した彼らですが、そのうち68%が住宅購入を後悔しているというではありませんか。ベビーブーマー世代の、実に2倍に相当するといいます。

なぜなのでしょうか?

答えは、頭金にあり。調査によれば、3人に1人のミレニアル世代が住宅購入の頭金を確保するため、個人退職口座(IRA)を取り崩したためなんですね。バンク・オブ・ザ・ウエストの消費者銀行部門ヘッドのライアン・ベイリー氏は、「ミレニアル世代はマイホーム取得に熱心なあまり、うかつにも極端な手段を講じる場合がある」と振り返っておりました。

もう一つの問題は、維持費や修繕費にあります。賃貸住宅に居住する限り、水漏れやドアの故障などは大家にお任せでした。しかし、マイホームとなれば話は変わりますよね。ミレニアル世代にとっては盲点なようで、想定外の出費で悩まされがちなのだとか。調査でも、5人に1人は住宅修繕が頭痛の種と回答していました。

再び景気後退に突入したあかつきには、住宅を投げ売りするミレニアル世代が続出してもおかしくなさそうですね…。

(カバー写真:Matthew Hurst/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2018年7月20日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。