新しいモノやサービスが驚くようなスピードで生まれ、そして消えていく。そんな不安定な世の中で、私たちに必要なことは何か。それは「自分を高く売る」こと。自分の価値を高めてさえいければ、どんな時代になっても生き抜いていくことができる。
今回は『自分を安売りするのは〝いますぐ″やめなさい。』(岡崎かつひろ著、きずな出版)を紹介したい。ブランド力を高めて、「自分を高く売れる人になってもらうこと」を目的とし、勝ち残っていくためのスキルと習慣をまとめている。
うまくいっている人を参考にする
――A社は「資金繰り」に悩まされていた。ある日の午後、技術部長が社長室に飛込んできた。「社長!すごいアイデアを思いつきました!これで一気に挽回できます!」。その技術は画期的だった。信じられないような素晴らしい技術だったのである!
「ドラマの世界ではありがちですが、残念ながら現実の世界では、これはほとんど起きません。ドラマチックという言葉があるように、ドラマで起きていることは特別です。現実の世界は、特別なことでなければ結果にならないわけではありません。たとえばあなたがコンビニに行くとします。どんなコンビニに行きたいですか?」(岡崎さん)
「個性豊かで独創的なコンビニはいかがでしょう?オーナーが阪神タイガースファン、ユニフォームはお揃いの縦縞模様、外観にはトラをあしらい、流れる曲は『六甲おろし』。品物は全部阪神ゆかりのものばかり。阪神ファンにはたまらないお店だと思いますが、コンビニに行きたいという人にとっては、行きたいお店ではありません。」(同)
――さらに、岡崎さんは、『セブンイレブンはセブンイレブンらしく、ローソンはローソンらしいからいいのです』と解説する。コンビニに独創性は不要ということになる。
「私が会社員時代のこと、新しいシステム導入で資料をまとめて上司に提案しました。すると上司から、『お前、この会社からいくらもらっているんだ?』と言われたことがあります。なぜかというと資料が上手にできすぎていておかしいと。ではなぜ、そんな上手な資料ができたのでしょう?タネを明かせば簡単です。」(岡崎さん)
「パワーポイントを使っていましたが、パワーポイントのデザイン集から、見た目がよく使いやすそうなものを使っただけだったのです。はっきり言ってパクリです。著作権のあるものではありません。気にせずパクらせてもらいました。私は飲食店も経営していますが、遠慮なくほかのお店のいいものをパクらせてもらっています。」(同)
――この世の中に独創的なものなどほとんどない。音楽にしろ、著作にしろ、技術にしろ、過去をパクり、その上で成立しているものがほとんどである。
「パクるのが当たり前なのです。独創的なお蕎麦屋さんなんてありません。ラーメンだって、ハンバーガーだって、結局はどこかを真似させてもらっているものなのです。だからあなたも、自分を高く売るために最初の一歩ですることは、徹底的なカンニングです。うまくいっている人からパクってパクってパクリまくりましょう。」(岡崎さん)
「あなたの個性なんてまったく必要ありません。どんなにパクっても、最後にはあなたの個性がしっかり残っています。個性を発揮するのは基礎基本が身についたあとの話であって、大した仕事ができないうちに言うことではありません。」(同)
まずは師匠との出会いが必要
「これだけ広い世の中にあって、自分を高めるために、師匠の存在は不可欠です。師匠の探し方が難しいという人もいますが、そんなことはありません。身近にすごい人はいたりします。まわりの人に聞いでみてください。また、試しに自分の会社の社長にアポを取ってみてください。社内に連絡先が公開されているかもしれません。」(岡崎さん)
「そんなことをしたら評価が下がるかもしれない?それで評価が下がる会社なら辞めましょう。会社なんて腐るほどあります。近いところでなくてもインターネット全盛のいまの時代、連絡するだけなら簡単です。SNSやブログなどが公開されていたり、ほかにも勉強会などが企画されていたらそこで簡単に人と出会うことができます。」(同)
――最終的に、自分の価値を決めるのは自分自身になる。自分の価値をしっかりと認めてくれる人とどのように出会うか。成功の秘訣や、勝ち残っていくためのスキルと習慣とはどのようなものか。まずは師匠を見つけることが先決になる。
尾藤克之
コラムニスト