アラフォー世代になると、「今まで着ていた服がなんだか急に似合わなくなってきた」という現象におそわれる。「何を着ればいいのかわからない」は大人の女性みんなに訪れる共通の悩み。衣替えの時期、去年とても好評で、自分でもお気に入りだった服。1年ぶりに袖を通してみると“あら大変!”鏡に映る自分の姿に驚いたことはないだろうか。
今回は、『今まで着ていた服がなんだか急に似合わなくなってきた』(サンマーク出版)を紹介したい。著者はカラーコーディネーターとして、企業向けの研修やイベントなどを手がけている海保麻里子(かいほ・まりこ)さん。パーソナルカラー(似合う色)を切り口にして顧客の魅力を引き出す手法を得意としている。
あなたはいま大丈夫?
――20代の頃は何でも着こなせていた人であっても、40歳前後から加齢に伴い、シミやくすみといった肌のトラブルや、体型のゆるみ、体重増加などが一年単位で加速度的に押し寄せてくる。その結果、自分に似合う色や形、素材の範囲が狭くなってしまう。
「去年はとてもイケていたはずなのに、今年はどこかバランスが悪く、どうもおしゃれに見えない。いったいどこがどう去年と違うのだろうとよくよく自分の身体を見てみると、二の腕のお肉はゆるゆる。お腹はポッコリ。かつて肩甲骨が美しく出ていた背中は嘘のように肉厚になり、ブラの下には肉段と呼ばれるお肉の塊が鎮座する状態。」(海保さん)
「さらに、いつの間にか腰の上にお肉がのっかっている。『えぇー? なんでたった1年でこんなふうになるの?』。こういう場合、たいていの方がかなりのパニックに陥ります。自分だけがおばさん化して、急に格下げされたような気がするからです。」(同)
――ところが、海保さんによれば、この現象は自分だけに起こることではないそうだ。アラフォー女子のほぼすべての方が鏡の前でみな同じ思いをしている。アラフォーになると普通に暮らしているだけで身体がゆるんでくるのはごくごく普通の現象らしい。
「これは、けっしてあなたが悪いわけではないのです。普通に暮らしているだけで、全身のお肉が一気にゆるんでくる鏡に映る自分の姿に我が目を疑い、『もう私、今度こそ絶対やせる!』と一大決心。でも、いざ目の前においしそうなパンケーキが並ぶと、『やっぱりダイエットは明日からでいいかな』と、先延ばしにしてしまう。」(海保さん)
「人は易きに流れる生き物ですから、こんなふうに『わかっちゃいるけど甘いものがやめられない』『いつも三日坊主でダイエットが続かない』という人が世の中の大半を占めています。世間で奇跡の美魔女ともてはやされている芸能人やモデルさんといった特別な人たちは きっと陰でかなりの努力をしているはずです。」(同)
――芸能人であれば、高いエステに通ったり時間もお金も労力も費やすことができる。しかし、一般人がそれをそのまま真似ようと思っても難しい。
「毎日仕事もしなくてはいけないし、洗濯や掃除といったこまごまとした家事もしなければなりません。さらにお子さんがいらっしゃれば、お弁当をつくったり、学校や塾の宿題を見てあげたりといくら時間があっても足りないという毎日を過ごしている方も多いのではないでしょうか。根本的にかけられる時間とお金が違います。」(海保さん)
「また、時間とお金以上に、年齢を重ねれば重ねるほど使えるエネルギーも限られてくることを私たちは日々痛感します。40代になると悲しいことに20代、30代の頃のようには無理や踏ん張りが明らかにきかなくなります。」(同)
43歳が分岐点である理由
――海保さんは、43歳は「おばさん」と「大人のいい女」の分かれ目だと解説する。女性は加齢とともに基礎代謝やホルモン系の機能が低下して、やせにくくなると言われている。そのため、これまで通り普通に生活をしているだけで急激に体重が増加する「年齢太り現象」に襲われるようである。
「とくに運動をしなくてもすらっとした手足にメリハリのある女らしいボディをキープできていた人でも、40歳を超えると急激に身体の脂肪が増え、ボディラインが崩れてきます。実は43歳というのが一つのターニングポイント。40歳の壁は厚いとよく雑誌でも取り上げられていますが、本当の正念場は実は43歳です。」(海保さん)
「お客様を拝見していて、また、私自身も感じるのですが、43歳は、まさに『おばさん』と『大人のいい女』の分かれ目の年です。この年齢はちょっと油断しただけで、1年であっという間に体重が増えてしまうこともよくある話。去年は似合っていたはずの服が『今年はどうもしっくりこない』という現象が起きてきます。」(同)
――この書籍は女性向けに書かれている。しかし、あえて男性諸氏にも読んでいただきたい。奥さまが日頃、どのような悩みをもっているのか、美しく年齢を重ねるためになにを必要としているのかが手に取るようにわかる。夫の理解が深まれば家庭に円満が到来することは間違いない。家庭円満の秘訣に1冊いかがだろうか?
尾藤克之
コラムニスト