航空会社の台湾表記問題:中国の圧力には政府が対応すべき

NHKニュースより:編集部

一昨日(26日)若干報道されましたので、ご記憶の方も多いかと思いますが、中国政府が、各国航空会社にそれぞれのホームページなどでの台湾の表記に関して、「中国台湾」とするように強要するという事案が今年初めにありました。その中国側が設定した期限が7月25日でした。

この問題は極めて深刻な問題であって、それは一言でいえば、「巨大な人口(市場)を擁する「共産主義独裁国家」に対し自由主義経済は脆弱である」ということの典型例になってしまったということです。

まさに、独裁国家が、自らの巨大な市場における経営権を人質に、民間企業という自由主義国家の一番弱い環に政治的信条の受容を求めたという典型事例が今回のケースでした。実際多くの国の航空会社がこの要求に従ってしまったのはまさにその証左です。

今後、こうした事例が増えることが予想される中で、我々としてどう対応すべきか、本腰を入れた議論が求められます。

私も台湾関係について自民党を代表する自民党青年局長として、政府ともこのような問題意識の下、調整を続けてきました。

今回の論点を整理すれば、

(1)まず、今回の案件は、中国が、圧倒的に大きな国内マーケットを人質に、民主主義・自由主義国家の一番の弱い部分である民間企業(国は原則介入しない)を狙ってきた案件と認識すべき。

(2)今後、価値観外交の試練(国家対国家の外交でなく、国家対民間企業で攻略)が始まると考えた方がいい状況で、早いうちに食い止めねば今後エスカレートするリスクが高い。

(3)今後同様のケースにおいては、中国対民間企業、中国対一国の構図に絶対にすべきではない。今後中国が実効措置に出たら政府が前面に出て日米で一致して対応するべき。

(4)今回の件を契機に、強権的国家による外国民間企業活動への政治的介入に対抗する抜本的対応を、日米、あるいはG7で早急に検討すべき。G7が始まった理由である旧ソ連の脅威以上に、中国の自由主義への脅威は深刻。

ということであろうと思います。

各国の会社が次々と中国の要求に一方的に従う中で、最終的に日本の航空会社が、中国台湾という表記をしないという決断を下したことは高く評価されるべきです。そして、日本政府として、このことによって各社にビジネスリスクを負わせるべきではありません。

今後、中国で活動する日本の民間企業がこうした理不尽な状況に直面しないように、中国政府からの圧力に関しては、日本政府がすぐに前面に出る体制を徹底しなければなりません。加えてアメリカとの緊密な連携、G7における自由主義陣営の結束が今後ますます大事になってきます。

引き続き政府とも連携しながら「中国問題」にきちんと対処してまいります。


編集部より:この記事は、自由民主党青年局長、衆議院議員の鈴木馨祐氏(神奈川7区)のブログ2018年7月27日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「政治家  鈴木けいすけの国政日々雑感」をご覧ください。