子ども(小学生)の「折れない心」を育てたいと思ったら?

尾藤 克之

画像は書籍内より引用

技術進歩とともに世の中は大きく変化している。しかし、いかに技術進歩しても、いかにグローバルになっても、絶対に必要なのが、「自分の考えを伝える力」になる。とくに、子ども(本書では小学生を指す)の場合、自分の気持ちや考えを言葉で表現し、他人に伝えられるようになると、子どもの積極性、自主性、生きる力が養われる。

今回は、『「自分の気持ちを言葉にする」練習帳』(永岡書店)を紹介したい。著者は、作家・経済評論家の木暮太一さん。著書累計50冊、累計135万部のベストセラー作家でもある。「伝える力」を、小学生に正しく伝えて理解させるにはどうすればいいのか。子どもを持つ親に読んでもらいたい1冊になる。

子どもの「伝えたい」にどう応える

人間は自分のことをわかってもらいたいと思っている。そして伝えたいとも思っている。この気持ちは子どもも同じだが、まずはどのような姿勢が必要なのか。

「自介のことを語ろうとしない子も、話を引き出し、聞いてあげるととてもうれしそうな顔を見せてくれます。ただ何がを感じても、それを言葉で表現することができる子とできない子がいます。言いたいことはある。十分すぎるほどある。でも、どう表現していいかわからずに言えないんです。」(木暮さん)

「実はぼくも、『言葉にできない子ども』でした。小さいことを、本当に言葉にするのが苦手でした。何かを言おうとすると、自分のなかで感情があふれてしまい、日本語としてまとまらなくなります。懸命に頭のなかで整理してから話そうとするのですが、どこから伝えていいのかわからず、言葉になりません。」(同)

しかし大人はそんな子どもを見てどんどんイライラを感じてしまう。木暮さんも、「言いたいことがあるなら、早く言え!言わないとわからないだろ!」と、けしかけられたことが頻繁にあったそうだ。

「その影響で、かえって言葉にできなくなるという悪循環が起きていたことを、子どもながらによく覚えています。子どもたちは、いろんなことを表現したいと思っています。ただ言葉にできないだけなんです。その言葉にする方法は、やり方を伝え、大人が子どもたちに教えてあげなければいけないものだと思うのです。」(木暮さん)

子どもの苦手意識を払拭する

親は子どもに「こんなふうに育ってほしい」「こういう子どもであってほしい」という願望がある。最初に、親が「なってもらいたい子ども」 の像を描き、子どもよりも先に「勘違い」することで、子どもはそのようになっていくと木暮さんは解説する。

「『勘違い』とは、たとえば、子どもに『積極的な子』でいてほしいと願ったとします。そうしたら、常に親が先に『うちの子は積極的な子』と思い込んであげる。たとえ違うとしても、勘違いして接してあげることがとにかく重要です。そしてそれを子どもに伝えてあげることで、子どもは実際にそういう子になっていきます。」(木暮さん)

「そうすると、子どもの積極的な部分が目に入ってくるようになり、その積極性を褒めることができます。『』あなたは積極的な子だから、こうやっていろんなことにチャレンジできたね』と言えるのです。」(同)

このようにインプットすることで、積極的ではない行動をしたときにも「いつもは積極的なのに、今回は何かあったのかな?」と思えるようになると、木暮さんはつづける。

「何かうまくいかないことがあっても、『やっぱり自分はダメなんだ』ではなく、『今回はたまたまうまくいかなかっただけ』『運が悪かった』と思うようになります。このおかげで『本当の自分』を下げずに済みます。そして『今度はうまくいくかも』と思えるようになり、次のチャレンジができるようになります。そしてそれが、あきらめない心を育み、折れない自分をつくっていくのです。」(木暮さん)

本書は、子どもが、自分に自信を持てるようになるためのレッスン書になる。タイトル上では「折れない心を育てる」にしたが、本書の帰結するところは、「自信をもち折れない心を育てる」ところにあると理解した。また、ワークが別冊で用意されているので書き込みやすい。ミッションは12問あり、学習効果を確認しながら進めることができる。

尾藤克之
コラムニスト