こんにちは、都議会議員(北区選出)のおときた駿です。
他の自治体の話になりますが、私も観光で訪れたことのある(というより、今年も行くつもりの…)群馬県みなかみ町で発生していた町長によるセクハラ事件が、思いもよらぬ展開を見せています。
町で行われた送別会にて、関係者の女性に前田町長がキス等をし、女性が被害届を提出したことで事件が判明。
議会は辞職勧告決議案の後、ついに不信任決議案を可決し、町長の辞任または議会の解散という選択が問われる事態になっていました。
今回のように議会側には瑕疵がなく、首長側の問題で不信任案が可決された場合、首長が辞任するのが一般的な選択です。
議会を解散させる大義は首長側にはなく、特に争点もない中でほとんど同じ議員が戻ってきた議会サイドがもう一度不信任案を可決すれば、今度こそ首長は自動的に失職するからです。
にもかかわらず、みなかみ町長の前田氏が「解散」という決断をしたことは極めて異例であり、残念ながらみなかみ町政に残る汚点となってしまう可能性が極めて高いと思われます。
前田氏は自身のブログの中で、女性との個人的なメッセンジャーのやり取りなどを公開した上で「双方の合意(先方の好意)」ということを主張しています。
その真意については確かに現時点で100%ははっきりしないものの、
・そもそも前田氏は既婚者である(!)こと
・既婚者である公人が(二次会とはいえ)送別会の場でキスという行為に及び、問題化したこと
の2点において、すでに辞任に値すると言わざるを得ない状況です。
仮に、仮にこれがなんらかの政争・政局によるトラップであったとしても、実際に具体的な行為に及んでしまったことに軽率という誹りを逃れられず、やはり今回の行動を擁護することはできません。
加えて、すでにこの事件が表面化したことにより8月の行事が中止になるなど、具体的な町政の停滞事例も発生しています。
それでも「自分は町長を続けたい、悪くない、信任してくれ!」というのであれば、自ら辞職をして再出馬して信を問うのが筋であり、議会を解散させる大義は万に一つもないと言えます。
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とはいえ、このような状況に追い込まれてしまった議会側はどうするか?
先述のように、議会サイドは選挙後に再収集された議会にて、再び不信任決議案を出すことができます。
大きく議会構成が変わらなければ可決は間違いなく、今回の前田氏の決断は来月の給与がもらえる・退職金が少し増えるといった狙いくらいしか考えられません。
あるいは、「前田派」の候補者を町議選に多数擁立させ、議会構成をひっくり返すことができれば不信任決議案を否決することもできるかもしれませんが…あまり現実味はないように思えます。
有識者からもすでに厳しい指摘が相次いでいる今回の案件。
前田氏はまだ50代と政治家にしては若く、潔い決断をした方が未来にも可能性が残ると思うのですが…。
(特に議会関係者に知り合いはおりませんが)一刻も早くみなかみ町政が正常化することを期待するとともに、これが地方自治における悪しき前例とならないことを願うばかりです。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は東京都議会議員、音喜多駿氏(北区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年8月6日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおときた駿ブログをご覧ください。