「専門家」になるのが「危険な理由」

インターネットの発展により情報が溢れかえる時代となり、その中からどの情報をピックアップするかという専門性が重要になってきています。それと当時に、世の中の変化が激しくなり、今まで有益だと思われてきたことが、あっという間に陳腐化したりします。

AI(人工知能)の活用が広がり、機械に出来ない専門性を磨くことがこれからのビジネスパーソンには必要と言われていますが、私は「専門家になるのは危険」だと思っています。

確かに、専門能力が無ければ、競争相手に勝てません。AIだけではなく、同業の競争相手に対しても自分にしかない専門性を持つことが優位に立てる条件であるのは事実です。

しかし、ここで冷静に考えるべきことは、専門性の賞味期限です。

マーケット環境が急激に変われば、専門性として高く評価されていたことが短期間に価値を失うことがあり得ます。

資産運用を例に挙げれば、不動産であれば国内だけではなく、アメリカ、イギリスといった先進国から、カンボジア、スリランカ、バングラデシュといった新興国まで幅広い投資対象があります。そして、それぞれのエリアにスぺシャリストがいます。

全ての投資対象それぞれに関して、自分が知る限り最も知識を持ち、信頼できると考えている人とリレーションを構築するように努力しています。

ところが、不動産の投資環境は変化します。例えば、少し前までは会社勤務で属性の高い人たちが殺到していた、地方の一棟もの投資は、スルガ銀行のシェアハウス問題を機に、一気に市場が縮小しました。

地方一棟ものに関する、物件調達や融資に関して専門性を持った人たちは、この環境変化によって、専門家としての価値を一気に失いました。融資自体が出にくくなってしまったので、専門性を発揮する機会が無くなってしまったからです。

このように「専門家」になることは強みでもあるのですが、環境変化で価値が低下してしまう専門性にはリスクがあるということです。

だから環境変化に左右されない専門性を見つけ、そこで自分をオンリーワンにしていく戦略を考えておくべきなのです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年8月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。