都の障がい者雇用水増し有無を早くから確認

42年の長きにわたる障がい者雇用数の水増しが中央省庁で行われ、指定医以外が障がい者の認定をしてカウント増等ずさんな運用が発覚、その後新たに7省庁10県で同様の水増し行為が行われ、昨日は、全国の29の県(!!)で同様の問題があったことがNHKまとめで判明し大きな波紋を呼んでいます。

教育委員会の雇用率の問題を4年前から指摘

初当選後の2014年3月の予算特別委員会にて、上田は「都庁の障害がい者雇用率は、ほぼ法定雇用率をクリアしするも教育委員会だけが大幅に下回っていて、厚労大臣からたび重なる勧告を受けている」ということを指摘をしていました。教育庁は「障がい者非常勤制度を活用して、学校の事務や技能業務などを担う障害者の採用を進めた結果、障害者雇用率は、本年3月1日現在で2.0%まで向上」「障害に配慮した教員採用選考の実施を積極的に広報し、障害のある教員の採用を推進」とし現在は、都は法定雇用率を達成しています。

一方栃木県では、今般の騒動で新たな実態が判明し精神疾患で休職中の教員を水増しした報道がありました。教育委員会の雇用率確保が難しく、だから水増しをしたのではないか、という背景が私には読み取れました。東京都議会議員として全局全部門の法定雇用率の確認をしていますと、凸凹が読み取れるものです。達成できてない局や庁はどこで、なぜ達成できていないのかを考えることで問題解決の糸口が見えてくるものなのです。

障がい者雇用率の定点観測の必要性

そもそも中央省庁の障がい者雇用を42年間も水増し隠ぺいしていた官僚もさることながら、それに気づかなかった国会議員・国会ってなんだったの?!という思いが私には「役所ケシカラン!」と思う前に頭をよぎりました。

役所というところはちょっと目を離せば「リーク・悪口・サボタージュをする組織!だから、油断せずシカと監視せよ!」と、私は脱官僚の恩師に叩き込まれております。

執行部門である省庁をチェックするのが、国会と国会議員の役目ではないでしょうか?

案の定、問題が明らかになってからは野党国会議員がキーキー騒いでいるようですが、お姐としては「なんでもっと早く見つけられなかったの?」という素朴な疑問が拭えません。公務員労働組合の応援をもらって選挙やってる野党国政政党(立民、国民、共産etc)にはソモソモ、公務員の不始末、役所の不正については隠ぺいに加担するんだろうなと思いこそすれ、チェック監視、問題発見なんてまったく期待なんてしてませんので、42年間も見過ごしといて、今更騒がれても国民も白けるばかりです。

「対案のない非難を文句と言う」がモットーのお姐は、そこで、以下のような資料を、予算特別委員会や厚生委員会など機会があるたびに取り寄せておりました。

都障がい者法定雇用率推移H23-27

▲東京都庁障がい者法定雇用率推移H23~27

こうした資料を各委員会で公式に要求すれば、都民も情報公開請求するまでもなく容易に入手でき、都議会においては他の議員とともに共有できるわけですから、上田一人の目だけではなく議会全体でチェック・監視することとなり、執行部・お役所に危機感と緊張感を抱かせ、不正防止のインセンティブを促すことになるのです。

こうした委員会資料要求を議員に禁止すれば、42年間気づけない国会と同じこととなりかねません。行政の瑕疵を議会全体で確認するチャンスをみすみす手放し知事及び行政のすることに白紙委任状を渡すこととなり、私が昨年離党以来シツコク指摘をしております「委員会資料要求禁止」の都民ファーストの会の病巣が皆様にもお分かりいただけると思います。

議員質疑で出来る不正の未然防止

予算特別委員会にて、障がい者雇用率未達成部局と現状を質した後は、上田お得意の定点観測質疑に移行していきます。2015年第四回定例会本会議一般質問にて以下のやりとりをしております。

上田「障がい者差別解消法が制定され、2年が経ちました。つきましては、特に職員の雇用率、働く場での合理的配慮の取り組みについて、現状と課題をご説明ください。特に、雇用率について、直近の達成状況と、採用後、中途障がい者となった職員の状況把握や雇用率の参入方法を含め、現職職員の状況と実数についてお答えください。」

(お姐超訳:よもや法定雇用率を達成するために、「中途障がい者だ」等の体裁を整えた不正な水増しはしておらんな?)

総務局長「都はこれまでも、個々の障害に応じた配慮が必要との認識のもと、障害のある職員が安心して継続的に働くことができるよう、職場環境の確保に努めてまいりました。

また、法の定めにより障害者の在職状況を把握する際は、職員のプライバシーに配慮しつつ、中途障がい者も含めて全職員から申し出可能としており、国の統計以外に利用しないことを説明の上、本人から同意を得ております。

このような取り組みにより、直近で国が公表いたしました平成27年の知事部局の障害者雇用者数は661名、障害者雇用率は2.62%であり、法定雇用率2.3%を達成しております。」

(お姐超訳:プライバシーを尊重しつつ、ハイ適正にカウントしております!)

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この答弁で「全職員から申し出可能」部分が、なんともタマムシ色で怪しく何かを濁している点が気になったのですが、あえて議事録に残すべく答弁調整などはしておりません。

都外郭団体障がい者雇用にも着目

また、都の血税が支出されている外郭団体(監理団体)においては、雇用率にばらつきがあることも、総務委員会で指摘をしています。もっぱら、「副知事・局長幹部職クラスは嬉々として天下り受け入れしているのに障がい者法定雇用率を達成していないのはどうしたことか?!」という観点からです。その際取り寄せた資料ご覧ください。

監理団体障がい者雇用率H26

▲管理団体障がい者雇用率(H26)

その際のやりとりは以下の通りです。

上田「同じ都政グループである監理団体については、雇用率にばらつきが見られます。(上記表参考)これについてのご所見と対応策をお示しください。」

(お姐超訳:血税投入している外郭団体でもちゃんと雇用しなさい!)

行政改革推進部長「監理団体における障害者の雇用確保は、都としても重要と認識をしており、これまでも、その促進に向け指導を行ってまいりました。今後とも、職場環境の整備や障害者に適した職務内容の見直しなどを行い、ハローワークなどの関係機関とも連携を図りながら、それぞれの実情に応じて指導してまいります。」

(お姐超訳:反論の余地なし。やらざるをえません、やります。)

上田「同じグループ内ということで、連動を図っていくというようなガイドラインも出されたことでございますので、東京都と同様の雇用率になるように、全体的なバランスがとれるようによろしくお願いします。」

(お姐超訳:副知事・局長、幹部職員を天下り高給優遇してる場合ではない!民間は雇用しないとペナルティがあるんだから、税金投入で資金繰りに恵まれているんだからさっさと雇用率達成を!)

お姐総括!

2013初当選以来、都庁職員の障がい者雇用率の定点観測、中途障がい者の雇用率反映につき確認してきた理由は「法定雇用率達成及び合理的配慮は進んでいるのか?」ということはもちろん「よもや水増しカウントしてなかろうな?」という疑義の確認に尽きます。議会全体与党ごっこ野党ごっこで火中の栗は拾わない予定調和の仲良しクラブ、知事のイエスマン議員・会派では都民のための仕事はできるわけがありません。

確かに、ごっご遊びとオールイエスの方が、ナンボも手が抜け、たまにやってる感出してアピールしてお茶を濁し都民をだます方が楽だとは思いますが、それは「選良」たる議員ではない「税金ドロボー」と、お姐は考える者です。事件発覚後、前出の過去に取り寄せた東京都庁障がい者法定雇用率達成の推移につきまして直近のものを要求したところ、早速昨日、東京都総務局人事部制度企画課が取りまとめて、上田まで提出してくれました。
都障がい者法定雇用率推移H25-29

総務局人事部もこちらの趣旨はよ~く理解されておりますから、これで都で水増しが発見されたら、これまでの上田質疑へ虚偽の答弁を繰り返していたこととなりますし、障がい者雇用水増し計上が東京都で行われていなければ、上田質疑に危機感持ってくれ、適正管理と達成にむけ努力した証左です。

うるさい議員がいれば政府も含む役所行政・官僚の不正はなくなる!!

さていかに…。第三回定例会に向け、粛々と準備いたします!


編集部より:この記事は東京都議会議員、上田令子氏(江戸川区選出、かがやけ Tokyo)のブログ2018年8月25日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は上田氏の公式ブログ「お姐が行く!」をご覧ください。