「人間は、自分自身が一番好きで、自分のことをわかってくれる人が二番目に好き」
という言葉がある。
コミュニケーションにおいて、「聴く力」が最も重要だと考えるゆえんだ。
様々なアンケート結果を見ても、「話を聞いてくれる相手」に女性は好意を抱くとのことだが、これは女性に限ったことではないだろう。
通常のコミュニケーションであれば、しっかり聴くようにすれば十分だ。
しかし、「交渉」となると、「聴く力」だけでは足りない。
「交渉」というのは双方の主張を摺り合わせるプロセスだ。
したがって、双方の主張をお互いにきちんと理解していなければ、「交渉」は進まない。
相手の主張や意見をしっかり理解するのは、聴くよりもはるかに難しい。
普通の会話をしていても、「この人の言いたいことは何なんだ?」と思うことがよくあるはずだ。
普通の会話であれば聞き流しておけば済むが、「交渉」となると、相手の主張内容が理解できないと当方も返答に窮する。
民事調停や家事調停を経験したことのある人だと、相手の主張が調停委員を介して伝えられるので、「ハズレの調停委員」(失礼)に当たると、いつまで経っても話がまとまらない経験をしたこともあるだろう。
私は、「交渉」を迅速かつ円滑にすすめるコツとして「相手の主張や意見を要約する」ことを推奨している。
「○○さんのご意見は…ということですか?」
「そう、その通りです」
というやりとりがあれば、「交渉」は半分以上まとまったようなものだ(場合によっては、早期円満決裂もあるかもしれないが…)。
お互いの主張や意見を確認し合えば、後は、進むか決裂するか、もしくは第三の解決策を講じるか、という具合に着地点が見える。
いつまでも「交渉」が進まないのは、お互いの主張や意見を双方がしっかり認識できずに何度も「行きつ戻りつ」してしまうからだ。
今般、Himalaya のリスナーから「交渉のコツを一つ教えて欲しい」というリクエストを受けて、「相手の主張を要約すること」を説明した。
行政委員会の仲裁役になったとき、驚異的なスピード解決に導けたのも、双方の「主張や意見」を要約して双方の納得を得たことが大きかった。
詳細は音声配信を聴いていただきたいが、「要約力」は普段から意識していれば案外簡単に身につけることができる。
ビジネスパーソンにとって大きな武器になるので、是非とも習得していただきたいと願っている。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2018年8月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。