第10回沖縄国際映画祭&あそぶガッコ

10回目を数える沖縄国際映画祭が開催されました。
世界のどこにもないイベントです。
内外の映画が集まり、世界に発信する。
映像の他にも、お笑い、音楽、スポーツ、いろんなエンタテイメントがある。
コンテンツのマーケットも新人発掘の場もある。
クリエイターを教育する催しもある。
大人だけでなく小学生も参加している。
芸人やアーティストも当たり前のようにうろうろしている。
明日22日に那覇・国際通りを進む行進は、1000人以上が歩く世界最大のレッドカーペットです。
そして沖縄のいくつもの会場が使われ、全島41市町村のみなさんが寄り合って地域を活性化します。
沖縄の全島で開かれて、新しい価値を生み出す。
これぞ「ソーシャルビジネス」です。
さて、それに先立ち、吉本興業は沖縄・那覇に「沖縄ラフ&ピース専門学校」を開校しました。
エンタテイメント人材育成の場です。
別名「あそぶ ガッコ」。
ガレッジセール、吉本興業大崎社長、城間那覇市長らによるテープカットです。
アジアの中心として、諸外国から文化的影響を受けながら、数多くのエンタテイメント人材を生んできた沖縄。
食もファッションも音楽も食べ物も、日本の、いや世界のどことも違う強い文化圏をもつ沖縄。
場としてふさわしい。
これは10回を数える沖縄国際映画祭の成果の一つと位置づけられています。
イベントを通じ、沖縄がもつ文化の潜在力と、人材育成の必要性が学校という形に結実した。
「この学校の目的は、エンタテイメントを沖縄における産業の一つとして確立することです」(吉本興業大崎社長)。
マンガやCGアニメ、パフォーマーなどのコースがあります。
マンガコースは堀江信彦さん北条司さん原哲夫さんが運営する世界最大のマンガ家ネットワーク「サイレントマンガオーディション」を礎に、マンガづくりのノウハウを体系化したカリキュラム。
CG・アニメコースは『火花』を世界190カ国に送る映像プロデューサー古賀俊輔さんが担当です。
パフォーマーコースは、ダンス、歌唱、演技、声優、パフォーマーとしての必要な要素をすべて網羅。
トニー賞3度受賞のブロードウェイのレジェンド、ヒントン・バトルさんと、HEROES天才マシ・オカさんが担当します。
開校に当たってのガレッジセール・ゴリさんのコメント。
「われわれの給料がここに吸い取られていたのか!でも親御さんは振り込めサギじゃなかったと安心していることでしょう。」
沖縄公共政策研究所の安里繁信さん「27年の米軍統治下、沖縄はメディアと学校が「日本に帰る」と唱え続けた。だから返還が実現した。」政治や行政よりも、現地の情報と教育が大切。
重いメッセージです。
沖縄をエンタテイメントの中心地とすべく巨大な映画祭を続け、学校法人まで立ち上げて人材育成の拠点を作る。
そこに社運をかけ続ける。
この時期は幹部も新人も芸人もみんな集合でおもてなしです。
吉本興業の情熱には鬼気迫るものがあります。
映画祭のスタート時、大崎社長は「100年続ける」とおっしゃいました。
達成するにはこれまでの歓喜と苦労をあと10回くりかえすことを意味します。
とんでもないことです。
でも達成してもらいたい。
ぼくが実行委員長を務める弟分の京都国際映画祭は、次回の10月で半分の第5回を迎えます。

沖縄のパワーをいただいて、秋の京都に持ち込みたく存じます。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2018年9月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。