航空会社の収益向上に必要なのは徹底的な「差別」

内藤 忍

飛行機のビジネスクラスを利用する理由は、観光で行く場合なら機内の座席が広くてゆったりしている、ラウンジが使えるといったことが理由かもしれません。しかし、ビジネスで行く人には、それ以上に時間の節約がポイントになります。

飛行機の移動には、列に並んだり、出発を待ったりとストレスのかかる無駄な時間がたくさんあります。例えば、荷物のセキュリティーチェック、出国手続き、ボーリングの順番待ちといった時間です。また、現地に到着してからも、入国手続き、預けた荷物のピックアップ待ちなど時間がかかります。

気の利いた航空会社は、ビジネスクラスでも時間節約やストレス軽減のための様々なサービスを付加してくれます。

例えば、セキュリティーチェックや出入国手続きに優先レーンを設置して、手続きをスムースに進めてくれる。あるいは、搭乗時の別レーンでの手続きによって行列のストレスを軽減してくれるサービスなどです。

これらの利用者の琴線に触れるメリットをビジネスクラスの顧客にしっかり提供することで、収益性の高いビジネスクラス客の囲い込みが出来るようになります。それが航空会社の収益向上に貢献するのです。

今回、カンボジア訪問に利用した航空会社は、そんなビジネスクラスの付加価値提供の意思をあまり感じませんでした。

セキュリティチェックは全ての乗客が一斉に並んで、長蛇の列。優先レーンなどの設置も一切ありませんでした。何とも戦略性を感じないメリハリのないサービスで、そもそも顧客のニーズを理解していないかのようです。これでは、ビジネスクラス客は、離れていってしまいます。

価格に見合った価値を提供するのは、ビジネスの基本です。顧客が本当に求める価値を把握して、その提供が徹底出来なければ、利益を上げることは難しくなるのは、どの業界でも同じです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年9月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。