日本経済新聞の報道によれば、金融庁が証券会社や直販投信会社に対し、設定から5年以上経過した投信の運用成績を開示するように求めたようです(図表も同紙から)。
開示された各証券会社、投信会社別の顧客の含み益と含み損の比率を見ると、明らかな傾向として独立型投信のプラス比率が高く、それに続いて証券会社となり、銀行のパフォーマンスが最も悪いことがわかります。
同じタイミングで計測したデータだとすれば、このランキングを決める要素は2つあると思います。
1つは取り扱っている投資信託の品質です。当然のことながら、運用パフォーマンスが良く、保有コストの低い商品であればあるほど、顧客が損をしにくくなります。独立系投信やネット証券は、取り扱い商品が比較的低コストになっているはずです。しかし、このデータでは対面型証券とネット証券には運用成績にあまり差が無いように見えるのが不思議です。
もう1つの要素は投資信託の購入タイミングです。コモンズ投信をはじめとする独立系投信は、積み立てによる資産形成を強く押し出しており、投資家はタイミングを計って投資するのではなく、ドルコスト平均法による時間の分散を行っていると考えられます。
積立による投資は、時間を集中させた投資よりも全体的には良い成績になります。なぜなら、感情的な投資をすると、結局は高値つかみになりがちだからです。安く買って高く売ろうという意識が強くなればなるほど、感情的に高値で一気に資金を投入して失敗してしまいます。
積立で時間を分散した方が、タイミングを狙うよりも「ベター」なのです。
今回の結果からわかることは、まず低コストな商品を選ぶこと、そしてそれを一気に購入するのではなく、積み立てを活用することが有効であるということです。
だから金融機関は、商品の「品ぞろえ」に注力するだけではなく、「投資の方法についての啓蒙活動」にも力をいれていくべきです。資産デザイン研究所でも、金融機関だけでは不十分な資産運用に関する正しい知識の提供を続けていきたいと思います。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年10月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。