東京・元港区議の益満寛志です。
港区に住むおじさんですが、”港区おじさん”ではないのが悲しいところです。
学生時代、友人女子が男のモテる三大条件を
「顔か金か押し」
と表現していました。その全てに欠ける小生はどう生きていけばいいのか、しばらく悶絶したものです。
ところで金融庁がスルガ銀行に対して「6か月間、新規の不動産投資用融資は禁止ね!」という厳罰を下すようです。
少し前からスルガ銀行が随分と叩かれていますが、スルガ銀行のお陰で(?)30代にして”港区おじさん”的なプチ資産家になれたよ、という知り合いがいたので話を聞いてみました。
彼によると、怪しい本にありがちな
「貯金のないサラリーマンが不動産で不労所得を獲得してサクセスする」
という、まさに金持ち父さんに書かれたような話が実際に存在し、その唯一の資金供給者がスルガ銀行だったというのです。
世間では散々叩かれているけど、俺は感謝してるよ、とのこと。
スルガが悪徳銀行呼ばわり(実際そうなんですがw)されている一方で、確かに過去スルガでいい思いをさせてもらった人も多数存在することもまた真実だったりするのです。
もちろん、そんなサクセスした方々が表に出ることは決してありません。
出ても叩かれるだけですからね。
今回はそんな一例を紹介します。
今さらスルガ擁護だなんて!
ということで、某月刊誌さん並みに空気が読めていませんが、スルガとは何の利害関係もないですし、まぁ気にせず書きたいと存じます。
※後半ではちゃんと叩きますよ!
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プチ資産家・鈴木さん(仮名、35歳)
8年前に、ほぼ元手ゼロからスルガ銀行でフルローンを組んで不動産投資を始め※←ここ重要、もう少しで純資産1億円を達成するちょっとした成功を収めた御仁です。
■現在の所有物件
↓
新築アパート1棟 購入時8000万(現在はアベノミクス効果で時価1億超え)
戸建て1戸 購入時1800万円(現在はアベ以下略)
■過去の所有物件
区分マンション1戸 購入時1000万円→1800万円で売却
中古アパート1棟 購入時1200万円→2300万円で売却
鈴木さんの現在は月の家賃収入が合計80万円、ローン返済が40万円ほど。差し引きで毎月40万円程度が入ってきており、繰り上げ返済も考えると近い将来借金ゼロになる見込み
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鈴木さんによると、このようなプチ成功したサラリーマン不動産投資家は意外と多いらしい一方、同僚には「いやぁ俺、実はアパート持っててさ」などと絶対に言わないことも特徴だったりするようです。
嫉妬されますからね。
本を出したりセミナーを開催する「自称」金持ち大家さんは目立ちますが、彼らはそういう商法で儲けているだけだったりします。
鈴木さんのような本当に堅実な不動産資産家は、実はあなたの隣のデスクに座っているのかもしれません。
※小生が地方議員時代に交流のあった地方公務員で、20代にしてアパートを持っている人は確かにいました。世界的ベストセラー『となりの億万長者』にも同じようなことが書いてあったので、この現象は日本だけではなさそうです。
そんな鈴木さんは新卒で大手メーカーに入り、20代後半で不動産投資に興味を持ちます。
もともと資産があったわけではなく、貯金も150万円ほどだったそうで、そのあたりのスペック的には「六本木あたりの合コンメンズだと中の中か中の上くらいかな?」という感じです(失礼!)。
そんな鈴木さん、いろいろと情報収集をする中で、新築アパートがいいんじゃないか?と考えました。そこで複数の選択肢から業者を選び、購入することになります。
ここで問題となるのが「不動産投資の元手はどうするの?」という点ですが、スルガ銀行は当時から「サラリーマン様にはフルローンで融資出すので元手は必要ありませんよ」という(銀行にとっては)奇跡のようなハイリスク融資を実行する、ほぼ唯一の銀行だったのです。(※あとはオリックスくらいだったそうです。)
現に、8000万円の購入資金のほぼ全額融資となったため、鈴木さんは元手がかからず8000万円の首都圏新築アパートを入手することができました。
金利はかなり高いのですが(当初は4.5%、数年後に3.2%まで下がる)、それなりに利回りが出るので返済当初から20万円を超える賃料が毎月手元に残り、あと10年もせずに完済してしまう予定ということです。
※ちなみに金利交渉の過程で、ワケの分からない無担保ローン商品やカードローンを勧められたそうです。さすがノルマを課すブラック銀行は違いますね!
こうして鈴木さんは、20代後半に元手ゼロから始めた不動産投資により、40代前半にして1億のアパートを手に入れることになります。
あれ、スルガ銀行大正義なんじゃね?
というわけです。
1発目の投資で実績を作った鈴木さんは、その後も順調に不動産を購入していき、サクセスすることになります。
ちなみに最初の成功は
「単に運が良かっただけ」
と鈴木さんは話します。
サクセスした方はよく「運が良かっただけ」と話しますが、背景にはしっかりと勉強し、なおかつ積極的にリスクを取る姿勢があったりします。世の中そうそうウマい話があるわけではなく、損する可能性を考えた上でもチャレンジする人にこそ果実が与えられるのかもしれません。
小生が地方議員時代に付き合っていた地主やビルオーナーの方々も、昭和時代にこんな感じで成功した事例が多かった気がします。
※もし仮にウマい話があるのならば、それはひょっとして「かぼちゃ」かもしれませんよ!
さて同時期、他の銀行・信金がどうだったかというと、「一見さんお断り」「どうしても買いたいなら頭金2割(現金1600万!)用意しろ」「実家を担保に入れろ」というノリで、とても貧乏サラリーマンが手出しできる状況ではなかったということです。これは恐らく現時点でも同様か、さらに厳しくなっている状況です。
つまり、スルガ以外は元手のないサラリーマンには貸してくれなかったわけですね。
このようなハイリスク融資を積極的に行っていたスルガ銀行の姿勢は素直に評価すべき部分もあったのではないかと思うのであります。
もちろん、
「元手のないサラリーマンなんかに貸す方がおかしい」
という考え方もあるでしょう。
ただそれは、金のない人間は永遠に資金調達できないことでもあり、なんだか夢がないなぁと思うところです。
「不労所得は悪だ」
という価値観もあるかもしれません。
ところがスルガ亡き後、依然として世の中には不労所得を得ている人がいる一方で、新規参入者が激減し、彼らの既得権が強化されるだけになるのです。
それこそ
・実家が貧乏
・田舎の公立高校でトップ5位に入るくらい猛勉強する
・一浪して東大に入る
・奨学金を抱えながら超頑張って金融庁に入る
・あれ、思ったより給料低くね?
というようなエリート金融庁職員が人生一発逆転するにはスルガルートしかなかったのですが、そんなスルガを処分する彼らの心中をお察しするところです。貧乏人がレバレッジを利かせられる夢の投資は他に早々ないですからね。
そういうわけで、
・現金持ってる富裕層は新規の不動産投資参入組が減る分、相場が下がってお得な価格で不動産が買える
・残念ながら普通の人がいくら頑張っても資産が築けない
という格差助長かつサラリーマン受難の時代になった感はあります。
スルガを叩くほど銀行は慎重になり、貸してくれないわけです。
とまぁそんなことで、かつて派手にやらかした「日本振興銀行」を彷彿とさせる事態になっていますが、一つ言えることは過去にスルガルートを活用することでゼロから富裕層になった人は確実に存在し、神棚に手を合わせながら「スルガ様ありがとうございます」と毎朝祈っている人は案外多く、彼らにとっては「新規参入が減って良かった。俺らは実績あるから今度はマトモな銀行から借りられるもんね!」となっていることは容易に想像できます。
なお「かぼちゃ」で失敗した投資家を「まぁ可哀そうだけど、欲かいたわけだし自己責任だよね」と内心思っている方もいるのではないかと思うのですが、決してそうではない側面もあります。
実は3年ほど前、鈴木さんの知り合いの女性会社員が「かぼちゃ」スキームでローンを2億円も組まされそうになり、幸い鈴木さんの入れ知恵と優秀な弁護士によってギリギリで止めたという事案がありました。
これがいかにも悪質で、お付き合いしていた彼氏から不動産投資を勧められる→将来の不安を煽られる→「どうせ結婚するんだし俺に任せておけば大丈夫」という典型的なデート商法だったのです。
さらにどうやって融資を引き出せたかというと、普通のOLに虚偽の確定申告を出させて年収1500万くらいにかさ上げし、その分の納税まで面倒を見るという手の込んだ手法を取っていたのです。
税務署とは面白いもので、過少申告は厳しく追及しますが、過大申告はフリーパスなのですね。
当然こんな内情はスルガの担当者はわかっていたはずですし、この方が紹介されたのも案の定、問題になっているスルガの特定の支店でした。糾弾されてしかるべきものではあります。
ただ一義的にはスルガの前に騙した業者が悪なのであり、スルガだけが悪者というのもちょっと違うのかなという印象はあります。
上記のインチキスキームはかぼちゃ以外にも業界の悪習としてままあることですしね。
というわけで、結論としては
・かぼちゃの販売業者は絶対悪
・スルガも完全に悪い。ただしスルガに世話になっている人も沢山いる
・スルガ落城によって真面目なプロレタリアートがブルジョワジーになる夢が潰えてしまった
・第2のかぼちゃを出さないためにも、スルガを追及するだけでなく、野放し状態になっている不動産業者に金融業者レベルの規制をかけて健全な不動産マーケットを育成すべきじゃね?
というのが小生の意見です。
叩かれるかもなぁ。
まあ、いいか。