「ネット右翼はどのくらいいて、どのような人たちなのか。その実像に迫ろうと、8万人規模の過去に例のない大規模調査が行われた」ことを朝日新聞が報じている。
朝日新聞社によると、
「ネット右翼とは一般的に、保守的・愛国的な政治志向を持ち、中国や韓国などの近隣アジア諸国に対して排外的な言動を行う人を指すことが多かった」
そうだ。しかし、思想を語るなら普遍的な原則をあてはめねばなるまい。「排外的な言動を行う」というのなら、特定のどこかの国に対するものに限定してはおかしい。
日本でもっとも強烈で影響力のある排外主義は、アメリカに対するものだ。朝日新聞自体など偽リベラル・左翼がその代表だが、保守系の人でもかなり多い。
それに対して、韓国や中国に反発する人々は、韓国や中国の反日主義に怒っているだけで排外主義ではない。
たとえば、韓国における愛国的・民族主義的な排外主義は日本とアメリカに向けられているが、だいたい左翼であるし、日米よりはましだとみるかどうかはともかくとして、中国に迎合的なわけでない。北朝鮮すら中国に対して強烈な民族主義のオーラを放っている。
アメリカではどうかといえば、人種問題があるからややこしいが、トランプだってアメリカの利益追求には熱心だが排外主義と割り切れそうもない。リベラルのなかには、慰安婦とか南京のような特殊な問題で反日で親韓・親中というのはいるが、現代の問題ではリベラルほどむしろ中国の人権問題に熱心だ。
それに対して、日本の偽リベラル・左翼は、朝日新聞に典型的に見られるように、おおむね、中国・韓国・北朝鮮の利益を日本やアメリカに対抗して実現することに与しているだけである。
つまり中韓などの民族主義・国粋主義的な主張に奉仕しているだけで、そこに、イデオロギーの影すら見出しがたい(北朝鮮については少し違うかもしれないが)。だから、私は彼らは中韓の国家主義・排外主義に奉仕する「変態右翼」だと見ている。
思うに、朝日新聞がネトウヨと呼んでいるのは、「安倍政権の強固な支持者」と言うだけではないか。安倍政権が、これまでのように、朝日新聞のような偽リベラルとなれあいで居場所を与えていたのをくれなくなったから、すねているだけだ。
そもそも安倍政権が極右的なのか?私はまったくそうは思わない。日米安保条約のような軍事同盟とTPPのような国際的な自由貿易の枠組みの推進に熱心な政治勢力を極右とか呼ぶのはそもそもの定義に反する。
また、『中国と日本がわかる最強の中国史』(扶桑社新書)や『『反安倍』という病』(ワニブックス)でも詳しく分析したが、安倍政権は中国に敵対的ではない。非常に中国に対して敵対的だった小泉内閣に比べて、第1次安倍内閣は中国との和解を試みたし、それは、福田内閣に引き継がれた。そうしてだいぶ改善していた日中関係を尖閣問題をこじらせて悪化させたのは民主党政権だ。
そして、再登板した安倍首相と中国がこれまであまりよくなかったのは、習近平の覇権主義と日本軽視政策が理由であろう。
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