仕事中「帰ったらやろう」→帰宅後「やる気ない」はなぜか?

黒坂 岳央

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka

Twitterである画像が話題を呼んでいます。

仕事中「家に帰ったらあれやろう!これやろう!!早く帰りたいなー」

帰宅後「やる気ない…何もしなくない」

というものです。

5万を超えるリツイートと、14万を超えるいいねがつき「分かる!」という共感をたくさん呼んでいます。これだけ盛り上がるというのは、それだけ多くの人が実感しているということです。なぜ、このような現象に陥るのかを考えてみました。

脳内世界と現実世界の「差」

人は2つの世界の住人です。1つは現実世界、そしてもう一つは脳内世界です。

現実世界は物理法則に縛られた文字通りの現実の世界のことです。そして、脳内世界とは頭蓋骨に閉じ込められた脳内で展開する世界のこと。人間は脳内では自由。どんな思想をしても、いかなり望みについても一切の制約は存在しません。仕事中も、体は机にあっても心は羽の生えたように自由です。「帰ったら映画見て、お酒飲んで、まったりしながらあれやってこれやって」と、デスクの上でワクワクする妄想は脳内世界でまさに自由です。

ところが、実際は現実世界に身を置いているわけですから、疲れてくると脳内のバーチャルな妄想は帰宅後に即座に現実世界と同期され、「疲れた」「スマホいじってたら寝る時間になってた」と現実にひれ伏してしまうわけです。

ひところSNSで流行った、

やりたい人1万人

やる人100人

続ける人1人

という言葉の通り、やりたい人はたくさんいても、実際に行動し、それを継続できる人はほとんどいません。「あれやりたい、これやりたい」というのは「やりたい人1万人」にあたる脳内世界のこと。でも、実際に行動する「やる人100人」、継続する「続ける人1人」は現実世界でやることです。

現実と脳内の2つの世界の差がいかに大きいか?SNSの流行ったこのフレーズがそれを物語っていると言えるでしょう。

実はやる気ではなく習慣の問題

私はこの現象が起こる原因はやる気の問題ではなく、習慣の問題だと考えています。

帰宅して「あれやりたい!これやりたい!!」と思ってもなぜ実行できないかというと、

「仕事から帰宅してあれこれやる習慣」がなく、「帰宅したら疲れてぐったりすごす」という既存の習慣と戦うことになります。習慣の力はすごいですから、真っ向から向かってもよほどの意志の強さの持ち主でなければ勝ち目はありません。どれだけものぐさな人でも、疲れていても、習慣化された歯磨きや入浴といったものは卒なくこなせる人がほとんどであることを考えると、今回のテーマは習慣化が原因であると私は考えます。

そこでおすすめをしたいのは、新たな習慣の構築です。「帰ったら勉強をやろう」ではダラダラ過ごす習慣化と真っ向勝負になりますから、「仕事の休憩室や帰りにカフェで勉強をしてから帰ろう」という新たな習慣を作るのです。

帰宅したら生産的な活動をやった後ですから、遠慮なく休めばいい。帰宅が遅くてそれが出来ない人は、夜ではなく朝やるというのも手です。私は仕事が終わって疲れたら必要な家事などを終わらせ、さっさと寝ます。どんなに仕事で切羽詰まった状態でも、「朝やればいい」という安心感がありますから遠慮なく、罪悪感なく寝ることが出来るのです。

すでに習慣化された行動をはねのけ、新たな行動を習慣化させるのは並大抵のことではありません。ダイエットが難しい理由は、食後に甘いデザートを食べて至福のひとときを味わう行動が習慣化されてしまっているからです。

「帰宅してあれこれやりたかったけど出来ない」

ということに失望する必要はないでしょう。なぜなら出来なくて当たり前だからです。帰宅後にあれこれしようとするのはスパッと諦めて、早起きか帰宅前にすることを検討してみてはいかがでしょうか。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。