こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
※Twitterアカウントはこちら→@takeokurosaka
先日、「子供が熱を出したらキャベツをかぶせることで、熱と毒素を吸い取ってくれる」という記事が、複数の医師から「医学的根拠がない」と指摘を受けたことで炎上しました。私は批判をするのが目的ではないので、あえて今回はメディア名を伏せたままお話を進めさせて頂きます。
なぜ第2のWELQ事件は起こったのか?個人的見解を述べたいと思います。
WELQ事件の再来
そもそもWELQ事件がどんなものかをご存じない読者もいると思うので、簡単に解説を入れます。WELQ事件とは、株式会社DeNAがかつて運営していた「医療キュレーション」の名称です。医療情報の提供を目的として設立された同サービスは、掲載記事に医学的根拠の不確かなものや、著作権の取扱に問題のある記事が多数あったとして炎上、現在はサービスを停止しています。
今回のキャベツ炎上については、WELQ同様に誤った医療情報の提供を行っていたとして大きな話題を呼びました。
医療情報の誤りは騒ぎが大きくなる
メディアは誤報が大きな問題となります。
WELQや今回のキャベツ炎上事件に限らず、例えばテレビなどでもTwitterで拡散された「コラ画像」が事実であるとして放送して炎上を招くこともあります。マスに情報を提供するメディアは、提供される情報の正否や品質をチェックする力が求められるわけです。
デマやコラ画像、根拠の乏しい情報掲載が炎上を呼んでしまうわけですが、とりわけ医療情報については大きな問題になります。なぜなら、誤った医療情報は人の健康に直結してしまうからです。今回の「キャベツ枕」をInstagram、Google画像検索をしてみると、「子供が熱を出したのでキャベツ枕をやってみた」という投稿が散見されます。
誤った医療情報の提供はユーザビリティを大きく損なうとして、Googleは医療の専門家のフィルタを通した記事を上位表示するという意向を表明しました。これは逆に言えば、「信頼のおけない医学の素人情報は順位を下げるぞ」という警告でもあるのです。今回は医療情報の正確性への高まりの中で起こった炎上です。
素人が医療ライターをする危うさ
ネットメディアは素人にも敷居が比較的低い事がメリットでもあり、デメリットでもあります。例えば「おいしいお店の特集」については、私はプロより素人の執筆した記事に魅了されます。プロの肥えた舌で「厳しい評価を受けた高級店」ではなく、素人が100店舗食べ歩いた中で特にオススメの「庶民が愛するお店」に関心があります。ですが、医療情報についていえば、やはり専門家にお任せしたいと考えます。
医療情報については、Googleがその指針を打ち出している通り専門家の意見を引用し、「あくまで個人の意見である」ということをしっかりと表明することが重要ではないでしょうか。私は複数のメディアで活動をするジャーナリストの立場ですが、フルーツの効果効用を書く時にはメディアから厳しいチェックを受けることがあります。「このセンテンスは健康を取り扱うので、医学の専門家に取材をしてコメントを取ってきてもらって下さい。その際、名前の掲載許可を取得して下さい」といった具合です。時代の流れを考えると当然かと思います。1つのいい加減な記事がメディア全体の信頼を損なうからです。
今回のキャベツ炎上にコメントをした医師によると、単に「医療効果が得られない」というだけではなく、「衛生面で懸念が残る」「体温を冷やすことが病気の治療に必要、という考えすら根拠がない」と警鐘を鳴らしています。
問題が起こった初動が見られている
件の記事が掲載されているメディアは、依然、医学的根拠に乏しい記事が多数掲載されたままです。問題になっている記事を削除するなど、対応があっても良いような気もするのですが、今のところそうした動きはありません。メディアに限らず、問題発生時は、初動の対応がその後の信用に直結します。個人的には迅速な対応が求められるフェーズに来ていると考えています。
第3、第4のWELQ事件を防止するためには、医学情報を書くライター、掲載するメディアの意識を高める必要があると感じます。
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黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表