一昨日、ドイツのメルケル首相はキリスト教民主同盟(CDU)の党首再選を目指さない意向を明らかにし、21年秋の任期満了で以て首相職を退くとの考えを表明しました。曰く、「(党首退任を)決断したのは(夏の)休暇だ。(今回のヘッセン州議会選挙の敗北で)発表するのを1週間早めた」とのことです。政権のレームダック化が指摘される中ポストメルケルを巡る動きが本格化し、混沌たる政治情勢下「メルケル首相の任期前退任の可能性も囁かれている」ようです。
翻って日本の政局を見るに、例えば八幡和郎さんなどは先月初旬「いつか来るポスト安倍時代の首相像はかくあるべし」と題し、次の7点を条件として挙げられていました--①高い知的能力と専門的知見、②重要閣僚ポストなどの経験、③本格的な国際経験と語学力、④優秀なブレーン集団をあらかじめ持つ、⑤国民に対する誠実な対応と説明能力、⑥タフな肉体と精神、⑦個人的なスキャンダルをあらかじめ整理すべし
先ずポスト安倍と言った場合に、21年9月迄の自民党総裁任期を全うしないで辞めるケースと、全うして次の誰かに代わるケースが考えられます。前者では、来春の統一地方選挙および来夏の参議院議員選挙、取り分け参院選で大敗を喫するようなことがあれば、安倍政権が早期退陣を迫られる状況も生じてくるかもしれません。
あるいは、『安倍晋三「任期3年」を蝕む難病進行「最悪の事態」』(18年10月9日)といったような噂も絶えず流れています。私見を申し上げれば、体調不良に陥っている人が、あれだけの激務を熟すのは不可能だと思われ、此の類は全てフェイクニュースだろうと思います。但し、万万一仮にそういう状況が生じるとしたら、やはり菅義偉官房長官が後継首相となるべきでしょう。それは、これまで安倍政権を支えてきた者の責任だと思うものです。
次に、上記任期を全う出来たケースはどうでしょうか。今月も「ポスト安倍レース、6人の混戦模様でスタート」(18年10月13日)等の記事や、「ポスト安倍は進次郎氏、石破氏に集中」(18年10月15日)といった世論調査の結果が出ていましたが、色々な候補者が挙げられる中で今後様々な局面を経、次第に頭角を現して行くことになるでしょう。
あるいは、此の3年の間に今下馬評に上っていない人が浮上してくることも考えられます。政治の世界とは一寸先は闇とずっと言われているわけで、もしそうだとしたら今3年後の日本の指導者を誰にするかをトピックにするは“too early”ですし、ひょっとしたら大きな間違いを犯す可能性があるのではと思います。個人的には、ポスト安倍は今俎上に載せられた人ではないかもしれない、という気がしています。
BLOG:北尾吉孝日記
Twitter:北尾吉孝 (@yoshitaka_kitao)
facebook:北尾吉孝(SBIホールディングス)