ここは、国会議員の皆さんに奮起してもらいたいところだ。
2日に閣議決定した出入国管理法改正案。
制度の詳細は法案成立後に決定する方針で、野党は「何人増えて、予算をいくら付けるのか一切分からない。無責任な法案だ」と批判を強めています。与党からも「リハーサルのない社会実験になるのでは」との懸念があがっています。https://t.co/TV7y0TBwqD— 産経ニュース (@Sankei_news) 2018年11月2日
特に、自民党。
詳細な制度設計がなされていないのに関わらず、あっさりと行政府にお墨付きを与えてしまった。
自民党の国会議員の皆さんは、ご自分で法案の詳細について説明できるのだろうか。
鋭意精査しています、細部については現在検討中です、では、誰も納得しないはずなのだが、自民党も公明党も納得してしまったようだ。
国会議員の皆さんは、ご自分が立法府の一員であるという認識が欠落しているのか、それとも著しく希釈化しているかのどちらかだろう。
私だったら、もっと制度設計を詰めてから持ってきてください、と早々に却下したところである。
まあ、国会議員の立法能力が行政府の職員よりかなり劣っているという事実自体は否定しないが、それにしても立法権は国会にある、という大原則を疎かにするようなことはすべきではない。
今の自民党は、あたかも法を作るのが法務省や厚生労働省の役所のような振舞い方をしている。
国会議員の方々に立法権が自分たちの方にある、という矜持が見られないのがつくづく残念である。
lawmakerという言葉が泣いている。
まあ、形だけは如何にも国会議員が法を作っているように見えるが、どうも実際には行政府でしかない役所の方々が法を作り、国会議員の方々は粛々と承認の手続きをしているだけのような印象だ。
中身ががらんどうだ、などと指摘している方がおられたが、私から見てもそのように見える。
肝腎なことはまだ決まっていない、これから精査して内容を詰めていきます、と言っているようなものだ。
せめて自民党の部会でよく揉んでもらったものなら、それなりに尊重したいが、殆ど揉みもしないで党内手続きを終えて閣議決定し、臨時国会への提出を急いだということが分かる。
国会議員は由らしむべし、知らしむべからず、とでも思っているのだろうか。
これから段々に中身が詰められていくのだろうが、そういう大事な作業は本来国会議員の皆さんがやるべきで、今回の出入国管理法の改正は明らかに拙速で、手抜き法案だと言ってもいいくらいだ。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2018年11月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。