神戸大学の西村和雄特命教授と同志社大学の八木匡教授は、所得や学歴よりも「自己決定」が幸福感を得るのに大切であるという調査結果を日本人2万人のデータから明らかにしました。
意思決定を自分の意思によって行った人は、自らの判断で努力することができ、結果として目的を達成する可能性が高くなります。また、結果に対しても責任と誇りを持ちやすくなります。そんな達成感や、自尊心によって結果的に幸福感が高まると考えることができます。
この結果を見て、サラリーマンの幸福度が自分で仕事をしている人よりも高くない理由がわかったような気がしました。
仕事をしていても自分で意思決定できる場面が少ないからです。
例えば、取引先とミーティングをしていて、プロジェクトを進めるのかやらないのかをその場で決めることができれば、達成感もありますし、やる気も出てきます。しかし、多くの場合は一旦社内に持ち帰って検討し、再度返信するという形になってしまいます。
その場で自分でリスクを取って決めることがなかなかできないのです。
プロジェクトのような本業だけではなく、会食した時の飲食費用や、出張に行った時の交通費まで、会社の経理や財務にお伺いを立てなければいけない場合もあります。
私が以前勤務していた会社では、通勤経路まで自分で決めることができず、勝手に決めると後から総務の事務の人に訂正させられたりしました。どんな経路を使って通勤するかまで、自分で決められなかったのです。
例え小さな金額であっても、自分で決めることができれば、そこに責任とコミットメントが生まれます。
社員が何も決められない会社は、結局社員がやる気を高めることができず、当事者意識が生まれにくいというデメリットが会社にあり、本人も幸福度も高まらないという2重のデメリットがあるのです。
サラリーマンであっても個人に権限が委譲されていて、自分で決められるベンチャー体質の会社の社員は何だか生き生きと働いています。今回のこのアカデミックな調査は、どんな仕事をするかよりも、その働き方によって幸福度が変わってくるという納得感のある結果でした。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2018年11月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。