速読とは、速く文書を読むテクニックこと。その方法に多様化されている。今回は、「NHKニュース」「ためしてガッテン」「テストの花道~ニューベンゼミ」などでとりあげられた、1分で1万字読む読書術の本を紹介したい。タイトルは、『即効! 成果が上がる 速読の技術』 (アスカビジネス)、著者は工学博士の佐々木豊文さん。
著書に『絶妙な「速読」の技術』『絶妙な「集中力」をつける技術』(以上、明日香出版社)、『1冊10分で読める速読術』『「心のブレーキ」を消す技術』『頭の回転が速くなるすごい! 法』(以上、三笠書房)、『速読の科学』(カッパブックス)などがある。
これまでの速読本は、「飛ばし読み」をすることで「速く読む」ことを推奨してることが多い。この手法の問題点は、結局「飛ばして読んだところ」は推察するしかないことにある。「ストーリー」や「文脈」を重視する、小説などには向かない。
佐々木さんの、速読術は3カ月、半年、1年と時間をかけて、「速読眼」と「速読脳」を開発していく点にある。これは、1分間に1万字以上の速度で読書できる高度な読書能力の開発でもある。眠っていた眼や脳の機能を開発し、子供だけでなく、大人にも、さらには高齢者にも可能なことだと解説している。
「『読む能力を上げる』ことと『速読』とは別のことと思われた方もいると思います。長い間、速読とは『早く内容を把握すること』の意味で用いられてきましたから、結びつかないのも無理はありません。実際、早く内容を把握することさえできれば『速読』なので、拾い読み、飛ばし読み要約を読むことも速読と思われてきました。」(佐々木さん)
「しかし、読書行動を研究した結果、スポーツで技能を鍛えるのと同様に、読書の能力を向上させる方法が見つかりました。いまでは次の2種類は速読とされています。(1)一部分だけを読んで、内容を推測し把握するテクニック、(2)情報処理が速い読書機能を自分の中に開発して、すべてを読む読書能力。」(同)
これまで「速読」と言われてきたのが、(1)の早読みテクニックになる。この方法を使うには、あらかじめその内容について知識が必要とされる。さらに、想像力や直観力も備えていなくてはならない。知識のある人、頭の回転の速い人だけができる方法である。
「このテクニックは、読み違いが許されない書類には使えません。味わって読む読書にも使えません。これは、事務的な書類の内容を早く把握するテクニックにすぎないのです。自分のなかに読書機能を開発してすべてを読む読書能力が必要です。」(佐々木さん)
ここ数年、速読を志向する起業家や投資家の方が増えてきたと、佐々木さんは解説する。すでにある程度の成功を収めながらも、情報をさらに収集したい、判断速度を上げたいというニーズを強く感じていると。
本書では、「2000字/分レベルの読書速度を達成すること」を目安にしている。これは日本人の平均の3〜4倍の速度になる。さらに、速読によって、眠っていた眼や脳の機能が開発するところまで言及する。新しい速読の技術、この機会にお試しいただきたい。
なお、拙著『即効!成果が上がる文章の技術』(明日香出版社/画像左)は出版後2週間で3刷となり堅調である。ご支援いただいた皆さまに御礼を申し上げたい。
尾藤克之
コラムニスト