アメリカ中間選挙の結果を見ながら

鈴木 馨祐

注目されていたアメリカの中間選挙が終わりました。結果的には上院で共和党が多数を維持し、下院で民主党が多数となりました。

Susan Melkisethian/Flickr(編集部)

結果の詳細な分析を今後していかねばなりませんが、やはり都市部と地方の傾向の差が大きいことや、二年前と比べるとかなり多くの選挙区で共和党から民主党に投票行動が移行した点には留意が必要です。

また、かつてと比べて、それぞれの党の候補者の主張が中道から左右の両極に別れてきつつあるということも注目しておく必要があります。

アメリカは大陸という側面と島国という側面の両方を持つ国で、しかも近隣に深刻な脅威となるような国が無いという環境の下で、政治、世論の振り子が特に国際社会における役割という意味では大きく振れる傾向がこれまでもありました。

その意味では、今後アメリカの社会や世論がどの様に動いていくのか注視が必要です。二年前、トランプ大統領が選ばれたのは、基本的にはそれまでもティーパーティなどで見られていた世論の流れの結果であって、トランプ大統領が一人でこうした現象を起こしたのではないということを我々は基本認識として持っておかねばなりません。

そしてその観点から言えば、これはアメリカに限ったことではありませんが、今のネット社会の下での情報発信の多様化により、「正しい」ということが一体何なのか、情報の「客観性」をどう担保し、どう多くの人が客観的な情報のもとでバイアスをなるべく排して物事の判断を行うことができるのか、という意味において、非常に難しい時代に我々は生きている、ということを考えざるを得ません。

従来、ともすれば妄信的に受け取っていた既存のメディアの情報が、実は客観性を欠いていることが多かった、という指摘が極めて正しい一方で、それに替わる答えを我々がまだ持つことができていないのも事実です。また、もしも、従来のメディアへの不信が、さらに信頼性の低いバイアスのかかった見方であったり、場合によってはそもそも事実として誤っている誤報といえるような情報に多くの人を走らせているのだとすれば、それも社会の安定という意味で望ましいことではありません。

このような時代だからこそ、個人個人が自らの価値観をしっかりと持ち、客観的な情報をもとに正しい判断をするための努力をし続けるということが、改めて重要になってきているのではないか。改めて、そう思うとともに、「正しい」情報のためのコストを誰が払うべきなのか、等々非常に難しい論点が山積していることを改めて感じるところでもあります。


編集部より:この記事は、財務副大臣、衆議院議員の鈴木馨祐氏(神奈川7区)のブログ2018年11月8日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「政治家  鈴木けいすけの国政日々雑感」をご覧ください。