日本のキャッシュレス化はカードによる電子マネーが主導しても良いのでは

日本のキャッシュレス化はカードによる電子マネーが主導しても良いのでは、とのタイトルではあるが、何を今更と指摘されるかもしれない。それほど実は日本でもカードでの電子マネーを使ったキャッシュレス化は浸透している。しかし、それでも現金利用の比率が大きいことや、中国などではQRコードとスマートフォンを使った決済が進んでいることなどから、日本でもキャッシュレス化が遅れていると指摘されている。

しかし、海外でのキャッシュレス化はQRコードを使ったものだけが浸透しているわけではない。韓国ではデビットカードが主流とされており、香港では日本の電子マネーと同じ機能を持つオクトパスカードの利用が進んでいる。香港のオクトパスカードはタクシー以外の乗り物、さらにはスーパーやコンビニ、ファーストフード店、自販機などあらゆるところで使える。

日本でもQRコード決済利用には躊躇しても、カードを使った電子マネーは交通機関やコンビニ、スーパーなどでも頻繁に利用されている。問題は発行体がバラバラであり、香港のオクトパスカードのような単一化が進んでいない点である。このため財布やカード入れがパンパンになってしまっている人も多いのではなかろうか。

それでも日本でのカード型の電子マネーの利用がさらに便利になりつつある。たとえばセブン銀行ATMにて10月15日からSuicaやICOCAなどの交通系電子マネーと、楽天Edyなどへのチャージ・残高確認のサービスが開始された。チャージは1000円単位となり、交通系電子マネーでは最大2万円までチャージが可能となり、おつりが発生する金額指定のチャージもできるそうである、

さらに東京ディズニーリゾートでも交通系電子マネーのSuicaやPASMOなど、さらにはQUICPayやiDを使った決済が一部の店舗で利用できるようになったそうである。

日本でQRコードを使ったスマホ決済を拡大させることは現状、なかなか難しい面がある。しかし、カードを使った電子マネーならば年配者を含めて利用経験者はかなり多いのでなかろうか。ただし、それぞれのカードによって利用できるものが限られることで、何枚も持ち歩くか、特定のカードだけで利用しているケースも多いのではなかろうか。

2018年に経済産業省が策定した「キャッシュレス・ビジョン」では、2025年までにキャッシュレス決済比率を40%程度とし、将来的には世界最高水準の80%を目指すとしている。このためには、すでに使われているカード型の電子マネーを香港のように統一した上で、端末の普及を政府なりが支援するのが、意外に手っ取り早いかもしれない。


編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2018年11月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。