本当に大騒動になった、ドラマ「相棒」のシャブ山シャブ子論争。
その後、どんな展開になったかと申しますと、まず立憲民主党の初鹿明博先生が、厚生労働委員会で、「薬物依存の方への偏見を助長するのではないか。こういう描写は慎むように、総務省とも協力して、要請してもらいたい」とこの問題について触れて下さり、厚生労働省から「薬物依存症は適切な治療や支援で回復することが可能だ。正しい理解の普及に努めたい」との言質をとって下さったんですね。
私たちは、これは好機!と思い、「依存症問題の正しい報道を求めるネットワーク」で、番組あてに要望書を提出する事にしたのです。要望書の内容はこちらのHPからご覧いただけます。
テレビ朝日『相棒 season 17』第4話への要望書を提出
で、この件を朝日新聞さんが記事にして下さったんですね。
さらに、他の新聞社さんからも、取材があったりして、反響の大きさに、驚いていた次第です。
するとですね、昨日はなんと番組プロデューサーからお電話を頂き、
「薬物依存症の偏見解消は大切な事なのでできることをやっていきたい。まずは何ができるのか、社内で協議します。また貴ネットワークと話し合いの場も持ちましょう!」
と、めっちゃ真摯に、お答え頂いたんですね。
こういうところはテレビマンってすごいなって思うんですよね。
ちゃんと真意を汲み取ろうとして下さるし、関連記事なんかをちゃんと読んで下さっているので、実に話しが早いんですよね。
我々の要望がどれだけ実現するか分かりませんが、むしろこの行き違いがよいきっかけとなり、力をもつテレビ業界の、誤解や偏見の解消に繋がりますように!
だって、私も「相棒」とっても好きで、拝見てるからわかりますけど、そもそも杉下右京さんはですよ、人の逆をいくというか、常識に縛られない、意表を突いた発想で、事件を解決している訳じゃないですか。
むしろ体制や大衆が「こういうもの!」と決めつけていることを、独自の審美眼で、真実を見抜いて行くわけですよね。そしてその鋭さに、視聴者は希望や憧れを見いだすわけじゃないですか。
それなのに「シャブ山シャブ子」みたいに、一般の人達が思うステレオタイプな薬物依存症者を登場させちゃうのって、全然似つかわしくないと思うんですよね。
むしろドラマの中に「右京さんのネタ元は、回復した薬物依存症者だった!」なんて作品を作って下さったほうがよっぽど「らしい」と思うんですよね。
なにはともあれ、番組のプロデューサーさんが迅速に動いて下さり感謝です。
是非とも話しあいの場をもち、依存症という厄介な病気の、よき理解者となって頂きたいなと願っております。
そして、アゴラさんや朝日新聞さんをはじめとした、問題提起にお力添え下さった皆様方に心より御礼申しあげます。本当にありがとうございます。
編集部より:この記事は、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2018年11月17日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。