2025年・大阪万博決定!後世に評価されるレガシーを

太田 房江

やりました! パリで23日に行われたBIE(博覧会国際事務局)総会で、大阪が2025年の万博開催地に見事選ばれました。本当におめでとうございます。私も大阪の特設会場で歴史的瞬間を見届け、皆さまと喜びを共有しました。

この間、現地の情勢については、報道だけでなく、さまざまなルートからも聞いていましたが、ライバルのエカテリンブルク(ロシア)、バクー(アゼルバイジャン)はともに初開催であることを猛アピール。1970年に一度開催している大阪と比べ、新鮮さを強力な武器にしており、特にロシアの働きかけが凄まじいものがあったと聞いていただけに、私も不安になっていました。

しかし、日本政府、大阪府、大阪市、民間の招致関係者の皆さまの総力を挙げての追い込みで、見事に55年ぶりの開催決定にこぎつけました。

私もこの連休中は大阪で、みなさんと喜びを共有したいと思います。5年前の9月に東京オリンピック招致が決まった時も嬉しかったですが、やっぱり地元大阪で世紀のイベントを体験できる喜びは全く違いますね(笑)。

1970年の大阪万博(Wikipediaより:編集部)

前回1970年の大阪万博は、堺屋太一先生をはじめとする通産省(現・経産省)の大先輩たちが、日本が戦後、高度成長を遂げたことを世界にアピールするビッグイベントとして成功に導きました。大阪万博は、今でも大阪のシニアの方々の心の風景として宿るものがあります。のちに通産省に入省した際、「大阪万博のような歴史的な偉業に関わる機会があったら」と、憧れたものでした。

さて、連休が明けたら、喜んでばかりもいられません。

大阪万博招致委公式サイトより:編集部

前回の大阪万博が今でも心に残る歴史的イベントになったように、2025年の大阪万博でも大阪、関西、日本全体にどのようなメッセージを訴えるかが問われます。

平成の次の時代はグローバル化とAI、IoTなど第4次産業革命、そして少子高齢化の波は一層大きくなっていきます。その中で、後世に「万博のおかげだった」と評価されるレガシーとは何でしょうか。

現在の計画では、大阪が得意とするライフサイエンスやバイオメディカルを、夢洲を中心に発展させることが盛り込まれています。万博に連動して、統合型リゾートや他のイノベーション拠点の構想も大阪市の湾岸部を主体に進んでいます。こうした動きに加え、北摂や南大阪を含めた大阪府域全体、関西エリアに広げて万博効果を波及させなければなりません。

国連が掲げる「SDGs(持続可能な開発目標)」の達成と、イノベーション創出で社会課題解決を目指す「ソサイエティー5.0」の実現という二大目標の使命を持つ2025大阪万博。

そうした世界的目標、国家的目標とともに、大阪として関西として、どのような街づくり、人づくりをしていくのか。近年、福岡市がITのベンチャー支援で若者が集まり、その盛り上がりが注目されていますが、大阪もただ東京の後追いをするのではなく、商都としての伝統と名だたる起業家を輩出してきた柔軟な発想を強みに、アジアで独自の立ち位置を示していくことが重要ではないでしょうか。

私自身も、大阪に住む政治家としてしっかり提案や課題提起をしていきたいと思います。


太田 房江(おおた ふさえ)参議院議員、自民党女性局長、元大阪府知事
1975年通産省(現・経済産業省)入省。2000年大阪府知事選で初当選し、日本初の女性知事に。2008年に知事退任後、民間企業勤務を経て、2013年参院選で初当選。厚生労働政務官などを歴任。公式サイトツイッター「@fusaeoota」